この話は続きです。最初から読まれる方は「委員会・1」 へ
「そろそろ下校時間だし、そこまででいいから帰る準備しよう。私も片付けるの手伝うから。」
と先輩はさっきの
「N君のそういうまじめなところ好きだよ」
といった事は全く気にしていないみたいでした。
僕は
「やっぱりそういった<好き>じゃなかったんだな。先輩みたいにきれいな人が年下の僕なんかにそんなこというはずないもんな・・・」
とちょっと残念でした。
そんなことを考えながら片づけを終え、先輩と一緒に昇降口に向かいました。
靴を履き替え外に出たところで先輩が
「ねえN君、今日ってこれから何か予定とかってあるかな?今日って土曜日で下校時間が早いから時間がなくて委員会だより作り終わんなかったんだ。もしよかったら手伝ってくれないかな?」
と言ってきました。
憧れの先輩のお願いだったし、僕自身まだ先輩と一緒にいたかったので
「あっ、はい。大丈夫です」
と緊張と動揺を悟られないようにできるだけ普通に答えました。
「ありがとう。すごく助かるよ。じゃあいこっか」
と先輩と並んで駅に向かいました。
「初めて会って以来ずっと片思いをしてきた憧れの先輩と今こうして並んで歩いている」
そう思うと自分でも心臓の鼓動が早くなるのが分かりました。
駅まで色々と話をしていたんだけど、緊張や、憧れの先輩と一緒にいるという事で頭が一杯で正直何を話したかよく覚えていないです。
そうこうしているうちに駅に着きました。
僕はそこでやっとどこで作業するか聞いていないことに気づきました。
先輩に尋ねると
「あっ、ごめんごめん。そういえば言ってなかったよね。はさみとかペンとか他にもこまごまとしたもの使うから、図書館とかでやるより私の家でやろうと思うんだ。それに今日、お父さんは出張でいないしお母さんは同窓会で泊まりで家に誰もいなくて静かだから落ち着いてできから」
とさらっと言いました。
そして
「あっ、ごめんね。N君の家は丁度反対方向だから定期使えないんだよね」
と謝ってきてくれたけれど、僕のほうはといえば
「先輩の家に行けてしかも先輩と二人っきり」
ということで頭がいっぱいになっていました。
なのでいきなり話を振られかなり焦ってしまいました。
そして電車に乗り込んだけれど、丁度自分の学校の他に近くにある高校の下校時間ともぶつかってしまい車内は文字すし詰め状態でした。
僕と先輩は入り口近くに向かい合って立っていたけれど、つぎつぎに乗り込んでくる生徒たちに押されながら
「降りるときちゃんとドアのとこまでいけるかなぁ」
と考えていました。
そして電車が発車する段階になって僕は自分がとんでもない状況に置かれていることに気づきました。
込み合う車内で邪魔にならないようにと先輩も僕もかばんを足元に置き向かい合って立っていたため、周りの人達に押され先輩と正面から抱き合っているような状態でお互いの体が密着してしまいました。
先輩の顔がすぐ近くにあり、お互いの呼吸だけでなく心臓の鼓動さえも聞こえてしまうようでした。
すぐ目の前にいる先輩のからは甘くいい香りがして、女の子特有のやわらかい身体の感触だけでなく、先輩の胸のふくらみが僕の胸に押し付けられ頭の中が真っ白になってしまいました。