この話は続きです。初めから読まれ方は「再会・・・」(その1) へ そしてご飯を食べに行く当日、夜の六時半に彼女たちの住むマンションに迎えに行きました。 二人ともちゃん
この話は続きです。初めから読まれ方は「再会・・・」(その1)へ
そしてご飯を食べに行く当日、夜の六時半に彼女たちの住むマンションに迎えに行きました。
二人ともちゃんとお出かけ用のおしゃれな格好で化粧も自然ないい感じでした。
特にIちゃんはシックなノースリーブの黒のワンピースですごく大人びて見えて、つい白い細く伸びた腕や足に目がいってしまいました。
私の視線に気づいたIちゃんが
「先輩、そんなじっと見ないでくださいよ・・・」
と頬を赤らめて俯いてしまいました。
照れてしまったときのIちゃんのこの仕草間ちっとも変わっていなくてなんだか微笑ましかったです。
と、そこへMちゃんの相変わらずの
「あ~っ、先輩、今エッチな目でIのこと見てた!」
と爆弾発言。
Iちゃんは
「ちょっ、何変なこと言ってんの!先輩がそんなことするわけないでしょ!」
と真っ赤になって反論したかと思うと突然、マンガでキャラの顔に縦線が入ったようなローテンションになり
「どうせ私は幼児体型だし・・・」
と後半は消え入るような声。私はMちゃんがいるのを忘れて
「大丈夫だよ、Iちゃんはちゃんと大人の女性だよ」
と彼女の頭を撫でてしまっていました。
Iちゃんはくすぐったそうに目を細めしばらくじっとしていて、その横ではMちゃんが「やれやれ」といった表情で苦笑していました。
そんなことがあった後向かったのは郊外にある小さな洋食屋さん。
前回、ちょっといい感じのお店で食べるか居酒屋のようなところにするかということで話し合った時、居酒屋はまた今度にして、今回は十年ぶりに再会しみんな大人になったということも含め、ちょっといい感じのお店で食事をしようという事で車で40分程の郊外にある洋食屋さんに行くことに。
料理もおいしくお店の雰囲気も上品だけど決して堅苦しいわけではなく、むしろ家庭的でこじんまりとした店内はとても心地よい空間でした。
三人とも魚をメインにしたお勧めのディナーセットをいただくことに。
私は車の運転があるため自家製の100%のやまぶどうを使ったノンアルコールのカクテルを頼み、IちゃんとMちゃんはワインで乾杯しました。
Mちゃんが
「Iがお酒飲むなんてめずらしいよね。普段はお茶かノンアルコールのカクテルなのに」
そして
「それに今日は今日はなんか気合入ってるよねぇ。そのワンピも新しく買ったやつだし、それに、ねぇ・・・」
とIちゃんのほうを見ていたずらっぽく笑いました。私は何のことだかわからず「?」といった感じだったけれどIちゃんは気づいたようですごい勢いでMちゃんの言葉を打ち消しました。
I:「だ、だめだよ!それだけは絶対!!」
M:「大丈夫、いくらあたしでもそれは言わないよ。女の子なんだからそれはわかってるって」
私:「そんな風にいわれると余計気になるんだけど・・・」
M:「あたしの口からは言えないですよ~。それはやっぱり先輩の目で確かめてもらわないと。ねっ、I」
I:「そ、そんなことあたしが言えるわけないじゃない!」
と、なんだか私はすっかり蚊帳の外といった感じでした。
そんな賑やかで楽しい時間はあっという間に過ぎていき、居酒屋のようにいつまでも居座るわけにも行かないのでデザートと食後のコーヒーを頂き一息ついた後お店を後にしました。
Mちゃんが「めずらしい」と言っていたようにやはりIちゃんはアルコールを飲みなれていないらしく、顔を上気させ少しボーッとした様子でした。車まで支えていく間Iちゃんはおとなしく私に体を預けていました。いつもならここでMちゃんの冷やかしの言葉が飛んでくるところだけど、そのMちゃんもやさしい表情で見守っていました。
まだ時間も早かったのでIちゃんの酔い覚ましもかねて街中のコーヒーショップに入ることに。
席に着きコーヒーを飲み一息ついたところでMちゃんの携帯がなりました。
Mちゃんは
「ん、メールだ・・・」
と携帯を開きしばらく眺めた後
「ごめん、彼が仕事が予定より早く切り上げられたから今から会えないかって。途中で抜ける形になってしまって申し訳ないんだけど・・・」
と言ってきました。
もちろん引き留めるわけにもいかないので
「じゃあ駅まで送ってくよ」
と私が言うと
「大丈夫です。時間もまだそんな遅くないし、駅もすぐそこで人通りも多いから。それより先輩、Iのことよろしくお願いします・・・」
と真剣な表情でいってきました。
Mちゃんの言おうとしていることが何なのかわかった私は
「うん、大丈夫」
と迷うことなく頷きました。
そしてMちゃんはやさしい表情で
「あたしがしてあげられるのはここまでだから。I、頑張って。十年前のあのときみたいになっちゃだめだよ」
と言いました。
Iちゃんも照れていつものように取り乱すこともなく
「うん、M、ほんとにありがとう・・・」
と涙ぐんでいました。
Mちゃんは
「ここは涙ぐむ場面じゃないでしょ。もう、しょうがないなぁ」
と苦笑し
「ほんとにすみません、お先に失礼します。すごく楽しかったです」
と一礼しお店を出て行きました。
つづく
「再会…」(その5)へ