「再会・・・」   (その6)

時刻(time):2022-01-29 10:07源泉(Origin):net 著者(author):admin
この話は続きです。初めから読まれ方は「再会・・・」(その1) へ それから少し車を走らせ一軒のラブホテルに到着し緊張して硬くなっているIちゃんの手を握りながら部屋に

この話は続きです。初めから読まれ方は「再会・・・」(その1)へ

それから少し車を走らせ一軒のラブホテルに到着し緊張して硬くなっているIちゃんの手を握りながら部屋に入りました。
品のある落ち着いた部屋でとりあえずならんでソファーに座りました。

私が「外のネオンとかの外観からは想像できなかったけど意外と普通の部屋なんだね」と呟くとIちゃんは
「ですね。なんかもっと派手なのかなって思ってました」
と答えそこで二人ともほぼ同時に
「んっ!?」といった感じで顔を見合わせました。

私:「もしかしてIちゃんってこういうとこ初めて?」
I:「えっ、じゃあ先輩も?」
私:「そりゃあ、この歳までずっと彼女がいない生活でこういったとこには縁がなかったから」

I:「そっか、先輩も初めてなんだ・・・」
と小さく呟くとIちゃんはそっと私に寄りかかってきました。しばらくしてIちゃんは昔を思い出すようにゆっくりと話し出しました。

I:「先輩は高校でも吹奏学部に入ってましたよね。あたしちゃんと毎年聴きに行ってたんですよ。ただ、あの夏のことが自分の中で引っかかっていて先輩に声を掛けられなかったんですけど・・・」
私:「あっ、毎年俺宛に誰が持ってきたかわからない小さな花束がきてたのってもしかしてIちゃん?」

Iちゃんは黙ってコクンと小さく頷きました。

私:「せめて名前だけでも書いていってくれたらよかったのに」
I:「ううん。頑張っている先輩の演奏が聴けて、そして先輩の姿が見れただけで十分だったから。それに・・・、先輩に彼女がいたら女の子の名前で花束とか来てたら迷惑掛けちゃうかなって思ったから。だから・・・」

私は愛おしさで胸がいっぱいになり、Iちゃんの言葉が終わる前に彼女を抱きしめていました。私の腕の中でIちゃんは「私にとって先輩が初めての人で、先輩にとって私が初めての人になるんだ・・・。こういうのって独占欲なのかもしれないけどやっぱり嬉しいな・・・」と呟きました。

つづく
「再会…」(その7)へ

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