私は去年の秋に10年ぶりに一人の女の子と再会しました・・・。 私は現在25歳の会社員です。 趣味は中学・高校と続けてきた吹奏楽で担当楽器はクラリネット。大学卒業後就
私は去年の秋に10年ぶりに一人の女の子と再会しました・・・。
私は現在25歳の会社員です。
趣味は中学・高校と続けてきた吹奏楽で担当楽器はクラリネット。大学卒業後就職し働き出したけれど、楽器を続けたくてアマチュアの市民サークルの社会人吹奏楽団に入りました。
このおかげで、家と会社を往復するだけという単調な生活になることもなくそれなりに充実した背活を送っていました。まぁ、相変わらず「年齢=彼女いない暦」は更新し続けてはいたんですが・・・。
「自分には彼女とかそういうのには縁がないんだろうなぁ。今の生活に特に不満もないし、これ以上高望みしたらばちが当たっちゃうな」と恋愛面のことは既に諦めていました。
けれど、去年の秋に楽団に二人の女の子が入団してきたことから大きく変化していきました。
二人のパートはクラリネットとホルンと事前に聞いていました。
夜の8時を過ぎたころ二人の若い女の子が現れ、練習を一時中断し団長からの紹介を受けることになりました。
「春とかの区切りのいいときにじゃなく、秋に入団なんて珍しいな」と思いつつ団長からの紹介を受け前に進み出た二人を見ていたら、クラリネットのこと目が合いました。彼女は軽く微笑んで少し恥ずかしそうに視線をそらしました。
その仕草に一瞬ドキッととしてしまったけれど「勘違いしちゃだめだよな、自分はこういうのには縁がないんだから・・・」と気持ちを落ち着かせました。けれど同時に「あれ・・・?なんだか見覚えがあるような気がするけどもしかして・・・」と思っていたら当たりでした。
2人とも中学のときの吹奏楽部の後輩で、自分が中学三年のときに彼女達は一年生で私が部活を引退する八月末までの五ヶ月間一緒に活動していたクラリネットのIちゃんとホルンのMちゃんでした。特にクラリネットのIちゃんは、吹奏楽の経験もなく楽器のことはまったく知らない状態で、私が彼女の担当になることになりIちゃんに楽器の組み立て方、持ち方、吹き方と色々教えた後輩でした。彼女達の自己紹介を聞いているうちに、十年前の中学三年の時の記憶が鮮やかによみがえってきていました。
四月の段階で、先月まで小学生だったIちゃんは小柄なこともありなんだか制服に着られているようでした。
ブレザーの袖からようやく手が出ているといった感じでそのことが彼女をより幼く感じさせていました。
そんな外見の幼さとは裏腹に、Iちゃんは覚えも上達も早くどんどん力をつけていきました。
明るく人懐っこい性格で慕ってくれてなんだか妹ができた様で嬉しかったのを覚えています。
自分が三年の時点で部員は36人。そのうち男子は4名で残りは女子でした。
やはり男子が少ない事や、つい最近まで小学生だったということも手伝ってかIちゃんの行動や仕草はこっちが恥ずかしくなってしまうことがしばしばでした。
向かい合って教えているときに足を開き気味のまま座っていたり、床に落としてしまった譜面を拾おうとしゃがんだ際にショーツが見えてしまったりということは日常茶飯事。
公立の中学のため当然クーラーなどはなく、女子は部活の時には胸元のリボンを取り外しボタンを緩めていました。
当然Iちゃんも同じで、教える際にまったく胸元を気にする様子もなく前かがみになったりするので目のやり場に困ってしまいました。
つい誘惑に負けて前かがみになったIちゃんの胸元に視線を向けたら、かわいい刺繍のされたブラに包まれた本当に僅かな膨らみが見えて慌てて視線をずらしてしまいました。
ショーツを見てしまった時やブラに包まれた膨らみを見てしまった時はドキドキして、なんだか自分がすごく悪いことをしてしまったようで自己嫌悪になってしまいました。
そんな私の葛藤をなどIちゃんは知る由もなく、相変わらずの人懐っこさで慕ってくれていて帰るときには途中までだったけれど
「一緒に帰りませんか?」
といつも声をかけてくれていました。
何か特別のことを話すわけでもなく、部活やクラスのこと、ほかにも色々他愛のないことを話していただけど、Iちゃんと一緒にいる時間はとても楽しく分かれ道に到着するのがあっと言う間でした。
私は一人っ子だったので「もし妹がいたらこんな感じだったのかな・・・」とぼんやり思ったりしました。
そして、最後の大会も終わり引退してしばらくたった夏休みのある日の夜、Iちゃんから電話がかかってきました。
「もしもし、Iです。受験勉強で忙しいところごめんなさい。明日、Mちゃん(ホルンの子)と東京の楽器店に練習用の教本とか色々楽器用品とかを探しに行こうと思っているんです。でも二人だけだと駅での乗換えとかちょっと不安なんで、もしよかったら先輩も行きませんか・・・?」と。
都心までは電車で一時間程。
ただ、確かにあの人ごみを考えると中学一年の女の子二人では心もとないし、息抜きも兼ねていいかなと思いOKしました。
10時事に駅で待ち合わせということで駅に向かうと、まだ30分前だったけれどIちゃんは既に来ていて切符売り場のそばの壁に背中を預け少し上を見上げ何か考えているようでした。
Iちゃんは、クリーム色のノースリーブで胸のところに少し大きめのリボンがアクセントとしてついているワンピースを着ていました。
よく考えてみたら、Iちゃんとあっているときはいつも制服姿で私服を見るのは初めてでした。
小柄な彼女にそのかわいいワンピース姿が似合っていて思わずドキッとしてしまいました。
私はなるべく平静さを装い、
「おはよう、早いね」
と声を掛けるとIちゃんは少し焦ったように
「あ、せ、先輩こそ早いですね」
と返してきました。
IちゃんがギクシャクしているところにMちゃんが
「あれっ、I、もう来てたんだ」
とやって来ました。
Mちゃんは私に気づくと
「あっ、先輩、ホント忙しいところすみません」
と声を掛けてくれ、あたふたとしているIちゃんを見ていたずらっぽい表情を浮かべ
「今から緊張しててどうするの?う~ん、それにしても気合入れてきたねぇ。秋穂のこんなかわいい格好初めて見たかも」
と笑いました。
するとIちゃんは途端に顔を赤くして
「ちょっ、ちょっとお、余計なこと言わないでよ~」
と動揺していました。
こんな場面がありつつも電車に乗り込み無事に楽器店に到着。
二人とも目的の教本や楽器用品を手に入れたところで、お昼過ぎになったこともあり近くのファーストフード店で昼食を取ることに。
みんな食べ終えた頃、Mちゃんが
「あっ、私一つ買い忘れてた!」
と立ち上がりました。私が
「じゃあ、もう一度いこうか」
とと立ち上がると
「すぐ戻るから大丈夫です。先輩はIと一緒にゆっくりお茶でも飲んで待っていてください」
と店を出て行きました。
出て行く間際、Iちゃんの耳元で
「頑張ってね!」
と声を掛けるのが聞こえIちゃんは
「う、うん・・・」
とうつむき加減にし顔を赤くしながら頷いていました。
Mちゃんが店を出て行き、私が
「さっきMちゃんが頑張ってって言ってたけどあれって何?」
と聞くとIちゃんは
「あっ、えっ、えっと・・・」
と言葉を詰まらせ顔を赤くして俯いてしまいました。
私は
「話題を変えたほうがいいのかな?」
と思い
「そういえば、結局どの教本を買ったの?」
と聞くと
「あっ、今日買ったのは・・・」
といつも通りのIちゃんに戻って答えてくれました。
その後も今の部活の様子の事などをお喋りしていたけれど、終始Iちゃんはなんだか落ち着かない感じで何か言いだそうときっかけを探しているようでした。
そんな感じでお喋りをしつつ、30分程経った頃Mちゃんが
「楽器ケースに付けるキーホルダー選んでたんだけど、どれもかわいくて迷って時間かかっちゃった」
と戻ってきました。
出て行ったときと同じようにIちゃんの耳元で
「どう?ちゃんと言えた?」
と声を落とし気味に言いIちゃんが
「えっと・・・」
と困った表情で答えると
「やっぱりねぇ。Iの表情はパッとしないし、先輩もさっきとおんなじだし・・・」
と少し呆れたように言うとIちゃんが
「だって・・・」
と少しいじけたような口調で答えていました。
わたしの「?」という視線に気づいたのかMちゃんは
「あっ、すみません。二人だけで話しちゃって。先輩、まだ時間大丈夫ですか?もしよかったら、せっかく東京まで来たんだからもう少しどこか見ていきませんか?」
と提案してきたのでその後も三人で色々と見て回りました。
つづく
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