ここは‥
暗いジメジメとした地下室の様な‥
なぜこの様な場所に‥
ぼんやりと霞のかかった記憶を巡らせて祐一は今いる自分の状況を理解しようとした。
「ふふ‥気付いた様ね。」
どこからともなく聴こえる女の声‥
「だれ?」
「今日からお前の飼い主になる私よ。美優夫人と呼びなさい。」
「なぜ‥」
「理由は必要ないわ。」
突然,壁の一部が巨大なモニターとなり中年の女が笑っていた。
「ほほほ‥そんなに怯えちゃって。良い表情よ。オマ○コが濡れてくるわ。」
「オマ‥」
恥ずかしげもなく卑猥な言葉を口にする女がモニターの中で笑っていました。
唖然として
言葉も出ずにいると初めて自分が床に手足を皮の拘束具で繋がれているのに気付いた。
真上の天井に小さく穴が開き一筋の光が差し込んだ。
光を遮る様に女が穴を跨ぐと下着を下ろして腰を屈める姿がスクリーンに映ります。
まるでトイレで用を足す様に‥
何をしようとしているのか理解できた時,声が出ていました。
「止めろ!」
「ほほほ‥元気が良い事‥調教のしがいがあるわ。」
スクリーンに拡大された女性器は排尿が始めています。
予想していた様に生暖かい尿が頭上から雨の様に降り注ぐのを目を閉じて受け止めるしかなかった。
なぜ,俺が‥
こんな目に‥
理由などなかった。
ただ3日前に付き合っている慶子とたまたま行き逢わせたデパートで美優夫人と袖をすり合わせただけだったから。
ただそれだけの理由だった。
「永井。」
「はい。奥さま。」
獲物を見つけ出した猫科の肉食獣の様な瞳の輝き‥
「あの男が食べたいわ。捕らえなさい。」
美優夫人に仕える大男の永井は,今までも夫人の数々の生贄を捕らえてきた。
そして,その生贄となった若い男達がやがて飽きられどの様な末路を辿ったのかを思うと暗い気持ちになる。
休日の午後を恋人と手を取り合い楽しげに過ごす男‥
かわいそうだが仕方ない‥
運命なのだから‥
夫人をもう一人のボディーガードの小島に任せて永井は二人を追った。
願わくば男が恋人以外の両親縁者のいない天涯孤独な身である事を望むだけだった。
男の尾行を続けて一時間ほどすると夫人を送り届けた小島も加わった。
「気が進まないな‥」
「仕方ないさ。俺たちはただ従うしかないからな。」
「そうだな。まだ女の方が助かるだけ良いのかもな。」
つづく