この話は続きです。はじめから読まれる方は「さとしの災難」へ
案の定、あれから香織は毎日のように俺ん家に来たがった。俺は何かと理由をつけて香織を家に来させないようにした。前もって姉ちゃんの予定をさりげなく聞き、大学に行ってるときなどに香織を家に上げた。
香織も姉ちゃんがいないとわかるとサッサと帰っていった。
「さとし、今日おまえん家いっていいか」
(今日は姉ちゃん大学に行ってる日だ)
「おお、いいよ」
「ラッキー」
家に入ると姉ちゃんの靴がある。(あれ)
「お邪魔しま-す」
「あら、この間の、香織ちゃんだったかしら」
「はい、覚えていてくださったんですね。うれしい」
「姉ちゃん、大学どうしたんだよ」
「急に休講になったんだよ。あたしがいちゃまずいか。あっそうか、まずいか。ごめんごめん」
「何変な気まわしてんだよ。もういいよ」
「そうです。私お姉さんといろいろお話したい。一緒にいてください」
「あら、うれしいこと言ってくれるわね。こんなかわいい娘にそんなこと言われたら、お姉さん抱きしめちゃう」
そう言って姉ちゃんが香織を冗談っぽくぎゅっと抱きしめた。
(おいおい、危ねえなあ。姉ちゃん解ってんのかよ。そいつ姉ちゃんのこと狙ってんだぜ)
香織は(ラッキ-)みたいな顔をした。そして俺のほうを見てにやっと微笑んだ。
(こいつ、なんて悪なんだ。くそっ、いっそうこいつがレズってばらしてやろうか)
3人で話し込んでると香織がのど乾いたというので、冷蔵庫をみるともう飲み物が無い。
「さとし、なにか買ってきて。あたしゲ-○レ-ド。2Lね」
「おまえ、どこいきゃ売ってんだよ。なんでもいいだろう」
「駅裏のス-パ-行けば売ってるよ」
「さとし、香織ちゃんの言うとおり買ってきてあげなよ。30分もあれば戻ってこれるだろ」
「姉ちゃん、こいつはな、姉ちゃんと二人っきりになりたいだけなの。こいつはレズ女なの」
(言ってやった。どうだ香織、これでもう姉ちゃんに迫るのは無理だろ)
「ひど~い。さとし、言うに事欠いて、私がレズだなんて。私は変な先輩に迫られて困ってるだけなのに。ひどいよ」
(あれ、何の話だ。いつおまえが迫られてるんだよ)
「さとし!いいかげんにしろ。男の嫉妬はみっともないよ。私が香織ちゃんを捕って食うわきゃないだろ」
(捕って食われるのは姉ちゃんの方なんだよ。香織~、猫被りやがって)
俺は急いで駅裏のス-パ-に向かった。
つづく「さとしの災難3」へ