俺は安田さとし。17歳の高校生だ。親父と母ちゃん、そして大学４年の姉ちゃんの４人家族だ。俺の友達に変わった奴がいる。同級生の女子で浜本香織。高１の時最初に隣の席になってから、なぜか意気投合してよく一緒に遊んだりしている。
といっても別に付き合ってるわけではない。
趣味も似ていて、馬が合うだけで、腐れ縁みたいなものだ。確かに香織はクラスでも容姿はベスト３には入るだろう。俺らの付き合いがうらやましいという奴もいるみたいだ。だが、香織に対して恋愛感情は一切無い。それは、あいつがレズだからだ。しかもかなり遊び人。
普段は猫被っているが、あいつの本当の姿は性質の悪い小悪魔だ。香織がレズだと知っているのは元カノ達と俺だけだ。なぜ俺が知ったかというと、香織に片思いの娘を奪われたからだ。
別に付き合っていた訳じゃないから、奪われたっていうのは変だけど、幸子ちゃんの処女を奪い、１ヶ月もしないうちに他の娘に乗り換えてるんだから、当時の俺のショックや、そりゃひどい落ち込んだもんだ。それからも香織はとっかえひっかえ恋人を変え、何人があの毒牙にかかったことか。香織は悪びれもせず「恋愛は自由なんだし別にいいでしょ」だって。こっちはろくに彼女もできず、悶々としているのに香織ばかりがなぜもてる。
香織は頭もよく、今日、追試がある俺のために俺ん家で勉強を教えてもらうことになった。
香織が家に来るのもずいぶん久しぶりだ。
「ちがう。ここはこうなるから答えはA。わかる？」
「え～そうなのか」
人がいつに無く真剣に勉強していると、いきなり部屋の扉が開き
「さとし、今週のジ○ンプ見せて」
いきなり姉ちゃんが入ってきた。もう午後というのに寝起きみたいで、髪はバサバサ、シワシワのパジャマのまま、くわえ煙草でお尻をぼりぼりかいている。
「わあ、姉ちゃん、俺の部屋入ってくるときはノックぐらいしろよ。それにこの部屋は禁煙だよ。何度言ったらわかるんだよ」
「あら、お客さん？こりゃ失礼しました。さとしの姉の冴子です。ヒュ－ヒュ－、さとし、おまえもスミに置けないねえ。女連れ込んで襲っちゃおうとか思ってんじゃないの？」
「何バカな事言ってんだよ。ただの友達だよ。早くジ○ンプ持って出てけよ。勉強してんだから」
変なこと言われて顔が真っ赤になりながら、香織のほうをチラッと見た。ビクッとした。香織はきらきらするような目付で立ち去った姉ちゃんのほうを１点に見、顔を紅く染め、微笑んでる。（やばい。こいつもしかして）直感的に思った。
（確かに男勝りで、さっきの格好も最低だが、基本的に姉ちゃんは、弟の俺から見ても美人だ。香織が姉ちゃんを好きになっても不思議ではない。いやこいつのことだ。絶対姉ちゃんに惚れたな。いやだ。それだけは避けなければ。俺はこいつをお姉さんなんて呼べねえぞ～）
「あんなんでもかっこいい彼氏がいるんだぜ。毎週デ－トだよ。嫌んなるぜ」
香織は俺の言葉なんか無視してるのか、まだボ－としてる。
この後二人とも勉強が身に入らなかった。
つづく「さとしの災難2」へ
