「奥さんもうご主人が亡くなって七回忌ですなあ」 「そうですね、シベリア抑留で体を壊して帰りましたから」三枝子はそう言いながら僧の大善を仏間に案内した。 昭和三十四年
「奥さんもうご主人が亡くなって七回忌ですなあ」
「そうですね、シベリア抑留で体を壊して帰りましたから」三枝子はそう言いながら僧の大善を仏間に案内した。
昭和三十四年のお盆を迎えていた。
三枝子は昨年、姑を送り今独り身で隣町のラブホテルの従業員として働いていた。
一人娘は大阪に嫁がせようやく生活も落ち着いてきたころである。
大善は女癖が悪く、檀家の女所帯を狙ってはうまく手篭めにしていたが見返りの金で口封じをするあくどさであった。
線香をいぶる臭いと六畳間の仏間の遺影にお灯明を挙げる三枝子の後姿に未亡人のもつ言い知れぬ魅惑を感じた大善で
あった。
熟した腰から尻辺りの肉付き、うなじのほつれ毛が汗で濡れている。
大善の眼はそこらあたりに注がれていた。
「このオナゴ、いい身体してるなぁ」
「住職さん、お願いします」
「ああ、わかりました」
少し慌てた様子で数珠を手に木行を鳴らした。
ボン、ボン、ボン
なむあみだぶつ・なむあみだぶつ
大善は10分のお経を読みあげるのだった。
「ご苦労様です」
三枝子は茶を差し出してお布施を用意した。
「奥さん、まだ若い独り身じゃあ可哀想だのう」
「もう慣れました、一軒屋ですので夜は寂しいですが犬のケンがいますし・・」
「ほほう、私もケンになりたいですなあ」
「そんな事言っていいですか・・・・」
「いいとも、一晩でいいからのう」
三枝子は住職の言葉が冗談であっても悪い気はしなかった。
思い返せば、夫の周作とは戦地へ赴く前のわずかばかりの夫婦生活、娘はその時のこである。
終戦後もシベリア抑留で帰ったのは昭和24年、精神的にも肉体的にもボロボロになっての帰国であった。
普通なら若い周作は妻の貪るように抱くのだがそんな気配もなく、女盛りの三枝子はやむなく布団の中でズイキを巻いた形見で疼く肉体を慰めていたのであ る。
「奥さん、わしはもう65過ぎだ、あんたももう恥ずかしい歳でもない・・・お相手おるんだろ」
三枝子は顔を赤くして否定した。
「住職さんそんな方いませんよ」
「ハハハ、そうかそうか・・・・悪い悪いこんな事聞いたりして許してくだされ」
「しかしこの片田舎に置いていくにはもったいない」
そう言いながら、大善は立ち上がった。
「さあ、もう5時だ寺へ帰らねば」
「今日はありがとうございます」
三枝子は住職を見送った。
三枝子はまだ四十路を越えたばかりである、住職の獣のようないやらしい目が浮かぶと妙に身体が火照った。
夕食を済ませるとラジオをかけ狭い茶の間に寝そべった。
生暖かい風が開けはなたれた玄関から吹いてきた。
しばらくウトウトして目を覚ますともう夜の10時を回っていた。
汗ばんだ下着が気持ち悪く三枝子は浴室の洗い場に向かった。
白いブラウスを脱ぎ、紺のスカートの留め金をはずして窮屈そうにスカートを腰から落とした。
透けるような白い肌、むっちりした肉尻が・・・・
たちまち三枝子は一糸まとわぬ裸体を洗い場の桶に身を沈めた。
風呂桶で水を汲んで肩から流した。
「ああ、冷たい・・・・」
三枝子の豊満な身体を伝いながら水がサラサラと落ちた
鏡に写る三枝子の裸体は悩ましいほど艶ぽかった。
「あなた・・・私の身体浮気したいって」独り言を言いながら豊満な乳房に指が這った。
豆電球の薄明るいでも三枝子の裸体は白く浮かんだ。
「あの住職のいやらしい目・・・でもあんな生臭坊主に・・・・」
乳首が硬くなっていく・・・・
三枝子は黒い茂みに指を滑らせた
「あぁ・・・欲しい・・・」
その頃大善は寝付かれなかった。
暑さだけではない、今日見惚れた三枝子の姿が脳裏から離れない。
硬くなってたモノが褌からはみ出した。
大善はこっそりと布団から抜け出し境内の涼しい風にあたった。
三枝子は独り住まい、自転車で行けば20分ぐらいで行ける、そう思うと大善はいたたまれなくなった。
時計は深夜の10時過ぎていた。
自転車に乗り込んでゆっくりとぺタルを踏み込んだ。
つづく「未亡人と僧4」へ