主人公は佳奈18歳。
2年前に火災で両親を亡くし、2人の弟を養っている。
中学を卒業してから高校へ通う余裕も無く、生活の為に必死に働く毎日。
そこらへんのコンビニや飲食店では生活していける収入は稼げないから、1年前から仕方なく水商売の世界へ手を出した。
高収入な代わりに、毎日お酒を飲んだり体の付き合いで、もう身も心も荒んでしまっていた。
佳奈はそんな職場に身を置くのは勿体ないくらい、スタイルが良く、綺麗で可愛い、お店ではNo.1の売れっ子だった。
街を歩くと、よくスカウトされたりナンパされたりもしていた。
しかし佳奈は、もう世の中を見る目が冷めきっており、体の関係も全く好きではないし、恋もしたことがない。
7月30日。
父と母の命日だった。いつものようにお墓参りをし、手を合わせながら涙を流していた。
もう、佳奈はどのくらいの間笑ってないだろう。
雨降りの命日に、一段と悲しい気持ちが増していた。
帰り道、一人で喫茶店で紅茶を飲み、店を後にした。
すると突然後ろから『ねぇ君、すっごい可愛いね!ちょっと付き合ってよ!』
と30歳位の男性に声をかけられた。
いつものこと。
うざい。
佳奈は無視した。
いつもはそれで相手は諦めて離れていく。
だが今回の男は違った。
佳奈の腕を掴み、強引にも連れていこうとした。
『なぁ、無視?俺と遊んでよー』
『ちょっ!やめて!』
佳奈はお尻を撫で回された。
『誰か!助けて!』
すると、運よく警察官が通りかかり、その男は連行されて行った。
佳奈は涙が流れてきた。