「青木さん‥」
初めて会った時から今田には何かを感じていた。
ゼネコンの現場管理をする俺‥
販売を手掛ける中堅商社の今田‥
週末の度に販売会を開き今田と俺は顔を合わせていた。
俺よりも一回り近く若い今田は,顔を合わせて話しをする度に建築の事を質問責めにしていた。
俺も弟の様に慕う今田にわかる範囲で誠意を持って答えていた。
「飯でも一緒にどうですか?いつも青木さんに教えていただいているお礼に僕が‥」
竣工も間近に控えた頃だった。
今田さんの誘いに軽い気持ちで応じた。
座敷で酒を飲みながら向かい合って座ると今田の中性的な顔に自分自身,信じられない様な感情に捕らわれた。
妻も子供もいるのに‥
「青木さん‥」
今田も酔いの廻った目で俺を見ていた。
店を出ると徐に
「俺,青木さんが好きです。」
今田が言った。
「仕方ないな‥酔っ払って‥」
「違います。寂しいんです。現場が終わって青木さんと会えなくなるのが‥」
「今田さん‥またどこかで会えるよ。そしたらまた仲良くしてよ。」
「青木さん‥」
手を握られた。
「今田さん‥」
「好きなんです。ダメですか?」
「ダメって‥」
「お願いします。」
真剣な眼差しだった。