この話は続きです。はじめから読まれる方は「美優夫人の飼い犬」へ
「マヤさん,これが話していたうちの坊やよ。」
女が連れてきたマヤと名乗る女‥
長身に切れ長の目が印象的で,テレビでも見かけた気がした‥
「ママ,きれいなお姉さんだね。ママとお友達なの?」
「お姉さんなんて‥坊や残念だけど結婚して亭主もいるのよ。」
彼に教えられて知っていたが言うと,嬉しそうに女が言った。
「坊やはこんなに大きいのに私がいないと。甘えん坊で困っているのよ。」
女が手を握ると
「ママ‥だってママがいないと寂しいんだもん。」
「寂しくない様にワンちゃんあげたんでしょうに。」
一人だけ裸で屈む彼に目を向けると女が笑った。
「あら,この間だの‥この犬が坊やのペットにしてもらったの?」
切れ長の女の目が彼を見て光った。
彼が怯えた様に僕の膝に手を置くと
「他にもいるから。呼ぼうか。」
インターホンに手を伸ばすと
「ねぇ‥ボク‥この犬,今日だけ私に貸してくれないかなぁ‥私,このワンちゃん気に入ってるのよねぇ‥ダメかな?」
ママを見ると「貸してあげなさい」と言う様にゆっくりと頷いたのでした。
「良いですけど‥」
彼の哀しそうな顔が見られませんでした。
インターホンで
「使えそうな犬を上げてちょうだい。」
やがて男に連れて来られた3匹の犬の中にママのお気に入りだった彼はいませんでした。
昼間からお酒を飲み女とママは仕事の話しやら女の家庭の事などを話していました。