この作品は続きです。はじめから読まれる方は「壁」へ
今日は土曜日。朝、ゴミ出しで石川さんと会った。
「恵子から聞いたんですけど、今度遊びにそちらへお邪魔してもいいですか。」
「ええ、ぜひ。なんなら明日は日曜日ですし、今晩私ん家で飲みませんか。」
ちょっと意地悪で訊いてみた。(今晩は彼氏とSEX三昧のはず。清楚な顔していてもやることはやってるんだから)
「えっいいんですか。ぜひお邪魔させていただきます。恵子にも来るように伝えておきますね。あの娘、高瀬さんとお話できるの楽しみにしてましたから。」
「あっはい。では8時頃いらしてください。」
(あれ、今日は彼氏いないのかな。ま、いっか)
コンコン。
「どうぞ」
「お邪魔しまーす。」
「あれ、由香里ちゃんだけ。恵子ちゃんは?」
「ごめんなさい。恵子、急に都合悪くなって今来れないって連絡あったんです。すみません。」
「いいよ。いいよ。あ、紹介するね。友達の佐藤一美。」
「一美です。この間も会ったもんね。」
「あ、はい。ろくにお話も出来なくて失礼いたしました。」
「一美、つまらないこと言ってないで、ほら、かんぱーい。」
私はかなりお酒も入り、酔っ払ってきたときだった。一瞬の静寂の中で
「あ~ん」
水曜と土曜日に聞かれるいつもの喘ぎ声が壁の向こうから微かに聞こえてきた。
(えっなんで?)
私と一美は驚きの表情を顔に出さないように互いの目を見た。
「あ~ん。いい」
今度ははっきりといつものように聞こえる。
(どうして。だって彼女は今ここにいるし、間違っても男の喘ぎ声とは違う。)
何が起きているのか解らず困惑したままの私達に
「あれ~。この壁こんなに隣の声が聞こえちゃってるんですね。」
と由香里ちゃんが微笑しながら声を発した。ドキッとした。(やばい。盗み聞きをしていたことばれちゃう。)
「まいったなあ。おねえさん達、ひょっとしてこの声聞きながら興奮してオナニーでもしてました?」
「そ、そんなこと」
「それとも、レズってたとか。」
清楚な感じの由香里ちゃんからまさかの直球の言葉に気圧されながら、顔がかあ~と熱くなるのがわかった。
「図星ですね。」
「だったら何。」
開き直って一美が由香里ちゃんに食ってかかった。
「いえ別に。それよりも隣の声誰だかわかりますか。」
(そうだ。由香里ちゃんはここにいて、だったら私の思い浮かぶ娘は一人しかいない。)
由香里ちゃんは壁をドンドンとコブシで叩き、壁の向こうの娘に合図を送った。と同時に示し合わせていたのだろう、喘ぎ声がピタリと止んだ。そしてしばらくすると扉がギイーと開き一人の女の子が現れた。(やっぱり)恵子ちゃんだ。しかも素っ裸である。股間の周りには愛液がしたたり声の主が彼女であったことを物語っていた。しかしなんて美しく魅力的な体なんだろう。私は唖然としながら恵子ちゃんの体から視線を外すことができずにいた。
「もうお解かりでしょ。私達も実はレズカップルなんです。付き合いだしてもう2年半。毎週水曜と土曜は恵子の都合でお泊りが出来るんです。恵子の親は放任主義で2年の時までは結構ホテルとかで自由にできたんだけど、さすがに受験生になるとそうもいかず、私が一人暮らしをして勉強を教えるという名目でカモフラージュできましたの。ただ最近マンネリ気味でなんか一時のような燃え上がるものがなくて悩んでたんです。そしたらお隣からおねえさん方の喘ぎ声が聞こえたんです。しかも二人一緒に。それでピンときました。おねえさん方もレズなんだって。最初のうちは決まって私達が愛し合っているときに聞こえましたわ。きっと恵子の喘ぎ声を聞きながらSEXしてるんだなと思いました。ならば私達のマンネリ解消に姉さん達に一役買ってもらおうと思いつきましたの。」
私達はよく言っている意味が解らず、恐々と尋ねた。
「何をすればいいのよ。」
「うふふ、お互い相手を交換してやってみませんか。」
「ええええ~!」
「幸いおねえさん方は、すっごい私達の好みですの。どちらかというと私は一美おねえさんがタイプ。恵子は美香おねえさんがお気に入りなんでしょ。」
「はい。私、美香おねえさんに裸を見られてるだけで濡れてきちゃいます。」
私達戸惑って身動き出来ないでいると由香里ちゃんが
「流石に最初は刺激が強すぎるかもしれませんね。まずこの部屋でいつものカップル同士でするところを見せっこしませんか。」
と立ち上がり裸のまま立っていた恵子ちゃんを抱きしめキスをしだした。目の前で繰り広げられる痴態に唖然としながらも私はあそこが濡れてきているのを感じていた。由香里ちゃんは20才とは思えない程妖艶に恵子ちゃんに愛撫を繰り広げている。
「あ~ん。あん。いいい~」
壁のむこうで耳を澄ましながら聞いていた啼き声が今、生の大音量で直接子宮に伝わってくるようだ。一美のほうを見るととろ~んとした表情で二人の行為を見つめている。
「おねえさん達も早くいつもの声を聞かせて。」
由香里ちゃんの催促の言葉に私達二人は自然と唇を合わせた。
<続く>
つづく「壁5」へ