クソ生意気な空手少女石添紗弥。ジュニア空手の全国大会で少女ながら堂々3位に入賞。今回の全国大会のレベルの高さを考えれば、彼女的にも彼女の通う道場的にも快挙を成し遂げたと言える。そして、並み居る体のデカイわんぱく坊主どもを軒並み倒した事が、この馬鹿ガキの道場内での態度を増長させ事は言うまでもない。そもそも、紗弥は前々からその態度や言動が良ろしく無かった。大人に向かってのタメ口なんて日常茶飯事。
特に道場内で一番弱い俺に限っては、暴言や暴力といった暴挙にさえ発展している始末だ。
ただ、石添紗弥は勘違いをしている。確かに俺は道場内で一番組み手が弱い。が、しかし、それも大人の中でという話だ。いくら全国3位に入賞したからといって、そう易々と大人に勝てると思ったら大間違い。いままで紗弥に良いようにされて来たのは周囲の目もあってのこと。
しかし、もはや俺も我慢の限界だった。
…石添紗弥、11歳。生意気な顔をしているが、その可愛さは本物。胴着の内から見える白く細い手足と下着越しの小さな膨らみ。髪を結った為に見える少女のうなじ。組み合った時のあのミルクの様な甘い匂い。
もう、限界だった。
その日、股関に隠した淫堕な心を制御して、俺はいつも通り石添紗弥と出会う。そして、道場の皆が帰宅した後で日頃からの態度で話があると彼女に耳打ちをした。
今日は道場主である老師範が月イチのキャバクラ通いの為に道場が早く閉まる日だ。しかし、師範は熱心な練習生が居るならばたとえ深夜であろうと、その練習生に鍵を渡して道場を好きに使わせてあげようという気位の高い人だ。
だから、俺は早く閉まる道場に残って練習をしたいと師範に伝える。案の定、易々と道場の鍵が手に入った。
あとは、人が居なくなるのを待つだけ。
俺と紗弥はお互い離れた場所で、じっと帰る連中を見送っていく。途中、帰らないのかと俺に聞いて来る奴は居なかったが、紗弥には何人か居た様だ。
さすがに紗弥も友達に一応は大人である俺に日頃の事で…と言われたなんて言えない様だ。悪い事をしていたのは紗弥なのだから余計な騒ぎを避けたいのだろう。同然といえば同然か…。
しばらくして、ガヤガヤと騒がしかった道場に静けさが広がる。残って居るのは、俺と紗弥。そして、紗弥がバツの悪そうな顔で俺の方へと歩み寄って来る。
「で、話ってなに?」
いや、どうやらそうでも無い様子。相変わらず、クソ生意気な態度で俺に突っ掛かって来た。
つづく
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