「ねえ、もう一軒行こう」 私はこの春から大学4年になった。 2人の進級記念、と称して、同じ学科の拓真(たくま)と私は居酒屋をはしごしていた。 「はぁ? まだ飲むの?」 拓真
「ねえ、もう一軒行こう」
私はこの春から大学4年になった。
2人の進級記念、と称して、同じ学科の拓真(たくま)と私は居酒屋をはしごしていた。
「はぁ? まだ飲むの?」
拓真は呆れたようにため息をついた。
「うん。まだ飲むの」
「しょうがねぇなぁ……。って言っても俺もうお金無いよ」
拓真は自転車を押しながら、時折ふらつく私の足下を見ている。
「私も無いの」
「じゃあ帰ろうぜ。もう1時回ったし、明日も講義あるだろ」
「ええー」
あからさまにがっかりして見せた。
確かに平日だけど……、もう4年生だから講義も多くないし、1日ぐらい休んだって大丈夫よ。
そう言おうとしたとき、
「じゃあさ、俺んち来る?」
拓真が眉をしかめて、嫌々そうに呟く。
「行く!」
私は小学生みたいに手を挙げて、拓真に向き直った。
「飲むだけだからね、飲むだけ」
「分かってるって」
「どうだかなぁ……」
拓真の苦笑を横目に見ながら、すでにカラダの中心が火照り始めるのを感じていた。
* * *
私と拓真は、一度だけセックスしたことがある。
昨冬の寒い夜。
同じ学科だから、期末レポートを拓真のアパートで徹夜して仕上げた。
ふらふらになって大学に提出してから、2人とも眠気に勝てず、空いている講義室で仮眠を取った。
結局、その日の夜に『打ち上げ』と称して酒を飲んだ。
酔った私は拓真にキスしてしまい、勢いでセックスまでしてしまった……。
拓真はふだんはふわふわした優男のくせに、セックスになるととたんに雄々しくなった。
「……やッ」
「ん? どうしたの?」
「気持ちい……」
「マキって淫乱だったんだね」
と言葉責めされて、触れて欲しい箇所の周辺だけを優しく愛撫して焦らされて、
「拓真……、い、挿れて……?」
と私からお願いするまで挿入してくれない。
それでも
「どうしよっかなぁ」
なんて、先っぽだけ挿れてゆるゆると焦らす。
早く挿して達(い)かせて欲しい、なんて経験は、それが初めて。
そして、実際の挿入も、ものすごく気持ちよかった……。
「ほら、上がって」
「お邪魔しまーす」
コンビニでビールと日本酒、梅酒、それからおつまみを買い、拓真のアパートに上がり込んだ。
「はぁー飲んだ飲んだ」
「まだまだ飲むぞー!」
「おいおい……」
それから小一時間ほど、こたつに向き合って話していた。
教授の変なクセについてケタケタ笑ったり、サークルがどうとかいう話をしているうちに、拓真はだいぶ酔っぱらってきた。
「あー、やばい、ぐらぐらする」
なんて言いながら、安い日本酒をぐびぐび飲み続けている。
「そろそろ寝よっか?」
「うーん……」
「一緒に寝よ?」
私は、またあの甘いセックスを期待して、拓真の耳元で囁いてみた。
「えー……? お前と一緒に寝るの?」
「イヤ?」
「いやー、……イヤじゃないけどさ、お前と寝るのはなぁ……」
「なんでよ」
拓真はふと顔を上げると、優しい目つきで私を見た。
「マキさぁ、発情期だろ」
どきん!
と心臓が鳴る。
が、事実なので素直にうなずいた。
「うん。春だもん」
「ははは、春だからか」
「うん」
「春爛漫(はるらんまん)だなぁ」
そう笑った拓真のくちびるに、私はそっとキスしてみた。
「…………」
拓真は何も言わず、キスを受けている。
「ね、ベッド行こ」
「……………………うん」
とたんに私のカラダの中の熱が一気に高まった。
ああ、拓真に焦らされたい。
拓真の声で感じたい。
拓真のペニスを挿してほしい。
拓真は、どさっとベッドに仰向けになった。
私はジーンズをゆっくりと脱ぎ捨て、パンティ一枚で拓真にまたがった。
「やる気満々だなぁ」
拓真はまた苦笑しながら私を見上げた。
ちょっと困ったような顔をしながらも、服の上から私の乳房をまさぐってきた。
「ぁ……」
「マキ、脱いで見せて」
私はすぐにカットソーを脱ぎ捨て、ブラジャーも取り外した。
拓真はそれを乱暴にベッドの下へ落とした。
「マキ」
「あッ! んぁ……」
一瞬、両方の乳首をぎゅうっとつまみ上げたかと思うと、ゆるゆると乳房全体をマッサージしてくる。
乳首の周りをくるくると指でなぞりあげられる。
「…たく……」
「マキのおっぱい、キレイだね」
「ね……乳首、さわって……?」
「なんで?」
相変わらず、拓真は指の腹を使って、乳首の周囲をぐるぐるいじっているだけだ。
あぁんもう、たまんない……。
思わず腰をこすりつけてしまう。
「マキ、腰揺れてるよ」
「……だって…………あんっ!」
びくん!とカラダがのけぞった。
乳首を一瞬こすられただけなのに、こんなに反応してしまうなんて。
拓真はくすくす楽しそうに笑っている。
は、恥ずかしい……。
「たくま、ね、お願い」
「なに?」
「乳首……もっと、こりこりして?」
「こう?」
こりゅこりゅっ、と乳首をつままれる。
「あっぁぁッ、気持ちいいっ」
「マキは本当に淫乱だねぇ」
こんなんじゃ、乳首だけで達(い)っちゃうかも。
私は必死になって、拓真のおなかにアソコをこすりつけていた。
「……ぁん……」
今度は、背筋をつつつーっと指でなで上げられる。
ぞくぞくと電流が走る。
拓真は私の顔をのぞきこんで、まるで私の反応を観察しているかのようだ。
「ぁう…あッ」
決定的な刺激ではないのに、拓真がたまに乳首をぎゅッと噛むから、背中全体が性感帯になったみたいだ。
「いつまで腰振ってるんだよ」
「え?」
「パンツ、濡れてる」
脱げ、ってことかな?
私は背中への愛撫に耐えながら、パンティを脱いだ。
「きゃっ!」
と同時に、ベッドに引き倒される。
拓真の目がぎらぎら光って野生動物みたいだ。
「ふふ、マキだけ裸だね」
「えっ……ぁあぁああッ」
突然、指を挿れられた
ぐいッと内壁をこすりあげられる。
「ぁああん!」
ぐちゅぐちゅッ、ねちゅ…ぢゅッぐちゅ、と、卑猥な水音が響いた。
「マキ、濡れすぎ」
「あっあッ、たくまぁッだめ……っ!」
もう達きそう……!
私は夢中になって腰を突き出した。
ねちゅねちゅッと拓真の太い指が出入りするのが分かる。
中指と薬指をなかに入れながら、親指でクリトリスをぐっぐっと刺激してくる。
拓真はどこでこんなテクニック覚えたんだろう。
「本当に淫乱だねぇ」
そう耳元で囁かれると、もう耐えきれなかった。
「い…ぁッいきそ……あっ、いっちゃう、いっちゃう!たくまぁぁッ」
びくんびくんッ、とカラダがけいれんした。
拓真の背中にしがみついて、私はあっけなく絶頂に上り詰めてしまったのだった。
「すごいな……」
「はぁ、はぁ、…」
「マキのなか、すごい締め付けだよ。ぴくぴくしながら俺の指に絡みついてくる」
「い、言わないでよっ」
拓真は楽しそうに私を見下ろしている。
「もう、今度は拓真のこと気持ちよくしてあげる」
私はほてったカラダをようやく起こして、拓真にキスをした。
「んッふ……ぁッ」
くちゅ、と音を立てて拓真の舌を吸う。
拓真の指は私に入ったままで、時折思い出したように中をかき回した。
「た、ぁッ……たくまも、脱いで?」
私は拓真のシャツとジーンズ、そしてボクサーパンツも脱がせると、拓真の小さな乳首にキスしながらペニスをこすりあげた。
「拓真……」
「んー、マキ…あっ、気持ちいいよ……」
拓真は、声を出してあえぐ方だと思う。
意地悪なくせに、かわいいなぁ。
ゆっくりとカラダを移動して、拓真のペニスの先端に何回もキスをした。
舌をちょっとだけ出して、ちろちろと舐める。
「ぁッ…あ……」
拓真が優しい手つきで髪をなでてくれる。
フェラチオはあんまり得意じゃないけど、拓真に気持ちよくなってほしくて、必死で吸い上げた。
裏筋に舌を這わせながら、頭を上下させる。
「あー…マキ……っ、俺、今日達(い)くの早そう……」
私は思わず吹き出してしまった。
なんてかわいいことを言うんだろう。
「ありがと」
拓真はそう言うと、私のあごを引き寄せてキスしてくれた。
私の手で握ったままのペニスはぎんぎんと大きくなって反り返り、私は心の底からこのペニスが欲しいと思う。
欲情している。
「拓真、挿れて……?」
「うん」
拓真はコンドームを取り出すと、器用に装着する。
「外で出すなら、付けなくてもいいよ?」
「いや……外とか中とかの問題じゃなくてさ。万が一のときにマキが傷つくでしょ」
優しさにじーんとしてしまう…。
「挿れるよ?」
座位で、入り口に拓真の怒張したペニスが押し当てられる。
「うん……ッ、ぁはっああぁ……んんッぁん! は、入ったぁ……」
「あッ、あっん、マキッ」
「入ってる、たくまが…ぁあんッあっあっ」
じゅぷッじゅッじゅぷっ、ぬぷッ、と激しく水音が響き渡った。
「あぁぁん! たくまぁッ、乳首だめぇッ」
「はぁっ、……マキ、乳首好きでしょ?」
下から激しいリズムで突き上げられつつ、両方の乳首もくりゅくりゅと指先で転がされる。
私はほんとうに強い快感に襲われて、もう、声を上げることしか出来なかった。
「あぁあっ、あッ! やっぁんッ、たく…ッ」
「あぁ、締め付けられる……っ、マキのなか、すごいことになってる」
「やッ、ぅんっはあぁんッ」
拓真は、少し突き方をゆるめると、入り口ぎりぎりまで抜いて、一気に入ってくる。
ちゅ…じゅぷッ! ちゅ…ずちゅッ!
いやらしい音と、ベッドのきしむ音が、私の耳に入り込む。
「ぁぁんッたくまっ」
ゆっくりと押し倒され、正常位のかたちでつながる。
私が一番達きやすい体位だ……。
もう、全身が性感帯になったみたいだ。
「あッあんぅッ、あっ、あッ、あっぁッ」
拓真の律動に合わせて、うわずった声が漏れてしまう。
ペニスがどくどくと脈打ちながら、私の膣の一番感じる壁の部分を押し上げて来る。
拓真の腰の動きがいっそう激しくなった。
「ぁ、あ…俺、達きそ……」
「あんッあッたく…あたしもぉ……い、ぁっあぁんッ」
「達くッ、あッ達く……!」
「たくまぁあッ! あんッあッぁっ気持ちいいぃッ、いっちゃうぅんッぁぁああッ!」
どくん!
びくん!
と、私たちは同時に果てた。
すごい、今まで味わったことのない快楽だ。
これが絶頂……。
「あッ、あっ…たくま、まだ、びくびくしてる……」
「…………マキもぴくぴく締めてくるよ」
私たちは抱き合ったまま、しばらく荒い息をしていた。
* * *
「ねぇ拓真、またセックスしよう?」
腕枕されながら、私は拓真の肩にキスを落とした。
「セックスかぁ……」
「もうイヤ?」
「いや……なんて言うか、セックスだけじゃなくてさ」
付き合おう、って言われるのかな?
なんてどきどきしながら、拓真の言葉を待った。
「もっと、マキと一緒にいたい」
拓真は、恥ずかしいのか、天井の一点をにらんでいた。
「…………私も」
私はつぶやきながらカラダを起こして、拓真のくちびるにそっとキスをした。
友情と愛情の境目はわからないけど、これからも気持ちいいセックスして、いっぱい一緒に過ごそうね。