春爛漫

時刻(time):2022-03-29 20:27源泉(Origin):net 著者(author):admin
「ねえ、もう一軒行こう」 私はこの春から大学4年になった。 2人の進級記念、と称して、同じ学科の拓真(たくま)と私は居酒屋をはしごしていた。 「はぁ? まだ飲むの?」 拓真

「ねえ、もう一軒行こう」

私はこの春から大学4年になった。
2人の進級記念、と称して、同じ学科の拓真(たくま)と私は居酒屋をはしごしていた。

「はぁ? まだ飲むの?」

拓真は呆れたようにため息をついた。

「うん。まだ飲むの」
「しょうがねぇなぁ……。って言っても俺もうお金無いよ」

拓真は自転車を押しながら、時折ふらつく私の足下を見ている。

「私も無いの」
「じゃあ帰ろうぜ。もう1時回ったし、明日も講義あるだろ」
「ええー」

あからさまにがっかりして見せた。
確かに平日だけど……、もう4年生だから講義も多くないし、1日ぐらい休んだって大丈夫よ。

そう言おうとしたとき、

「じゃあさ、俺んち来る?」

拓真が眉をしかめて、嫌々そうに呟く。

「行く!」

私は小学生みたいに手を挙げて、拓真に向き直った。

「飲むだけだからね、飲むだけ」
「分かってるって」
「どうだかなぁ……」

拓真の苦笑を横目に見ながら、すでにカラダの中心が火照り始めるのを感じていた。

* * *

私と拓真は、一度だけセックスしたことがある。

昨冬の寒い夜。
同じ学科だから、期末レポートを拓真のアパートで徹夜して仕上げた。
ふらふらになって大学に提出してから、2人とも眠気に勝てず、空いている講義室で仮眠を取った。

結局、その日の夜に『打ち上げ』と称して酒を飲んだ。
酔った私は拓真にキスしてしまい、勢いでセックスまでしてしまった……。

拓真はふだんはふわふわした優男のくせに、セックスになるととたんに雄々しくなった。

「……やッ」
「ん? どうしたの?」
「気持ちい……」
「マキって淫乱だったんだね」

と言葉責めされて、触れて欲しい箇所の周辺だけを優しく愛撫して焦らされて、

「拓真……、い、挿れて……?」

と私からお願いするまで挿入してくれない。
それでも

「どうしよっかなぁ」

なんて、先っぽだけ挿れてゆるゆると焦らす。
早く挿して達(い)かせて欲しい、なんて経験は、それが初めて。

そして、実際の挿入も、ものすごく気持ちよかった……。

「ほら、上がって」
「お邪魔しまーす」

コンビニでビールと日本酒、梅酒、それからおつまみを買い、拓真のアパートに上がり込んだ。

「はぁー飲んだ飲んだ」
「まだまだ飲むぞー!」
「おいおい……」

それから小一時間ほど、こたつに向き合って話していた。
教授の変なクセについてケタケタ笑ったり、サークルがどうとかいう話をしているうちに、拓真はだいぶ酔っぱらってきた。

「あー、やばい、ぐらぐらする」

なんて言いながら、安い日本酒をぐびぐび飲み続けている。

「そろそろ寝よっか?」
「うーん……」
「一緒に寝よ?」

私は、またあの甘いセックスを期待して、拓真の耳元で囁いてみた。

「えー……? お前と一緒に寝るの?」
「イヤ?」
「いやー、……イヤじゃないけどさ、お前と寝るのはなぁ……」
「なんでよ」

拓真はふと顔を上げると、優しい目つきで私を見た。

「マキさぁ、発情期だろ」

どきん!
と心臓が鳴る。
が、事実なので素直にうなずいた。

「うん。春だもん」
「ははは、春だからか」
「うん」
「春爛漫(はるらんまん)だなぁ」

そう笑った拓真のくちびるに、私はそっとキスしてみた。

「…………」

拓真は何も言わず、キスを受けている。

「ね、ベッド行こ」
「……………………うん」

とたんに私のカラダの中の熱が一気に高まった。
ああ、拓真に焦らされたい。
拓真の声で感じたい。
拓真のペニスを挿してほしい。

拓真は、どさっとベッドに仰向けになった。

私はジーンズをゆっくりと脱ぎ捨て、パンティ一枚で拓真にまたがった。

「やる気満々だなぁ」

拓真はまた苦笑しながら私を見上げた。
ちょっと困ったような顔をしながらも、服の上から私の乳房をまさぐってきた。

「ぁ……」
「マキ、脱いで見せて」

私はすぐにカットソーを脱ぎ捨て、ブラジャーも取り外した。
拓真はそれを乱暴にベッドの下へ落とした。

「マキ」
「あッ! んぁ……」

一瞬、両方の乳首をぎゅうっとつまみ上げたかと思うと、ゆるゆると乳房全体をマッサージしてくる。
乳首の周りをくるくると指でなぞりあげられる。

「…たく……」
「マキのおっぱい、キレイだね」
「ね……乳首、さわって……?」
「なんで?」

相変わらず、拓真は指の腹を使って、乳首の周囲をぐるぐるいじっているだけだ。
あぁんもう、たまんない……。

思わず腰をこすりつけてしまう。

「マキ、腰揺れてるよ」
「……だって…………あんっ!」

びくん!とカラダがのけぞった。

乳首を一瞬こすられただけなのに、こんなに反応してしまうなんて。
拓真はくすくす楽しそうに笑っている。

は、恥ずかしい……。

「たくま、ね、お願い」
「なに?」
「乳首……もっと、こりこりして?」
「こう?」

こりゅこりゅっ、と乳首をつままれる。

「あっぁぁッ、気持ちいいっ」
「マキは本当に淫乱だねぇ」

こんなんじゃ、乳首だけで達(い)っちゃうかも。
私は必死になって、拓真のおなかにアソコをこすりつけていた。

「……ぁん……」

今度は、背筋をつつつーっと指でなで上げられる。
ぞくぞくと電流が走る。

拓真は私の顔をのぞきこんで、まるで私の反応を観察しているかのようだ。

「ぁう…あッ」

決定的な刺激ではないのに、拓真がたまに乳首をぎゅッと噛むから、背中全体が性感帯になったみたいだ。

「いつまで腰振ってるんだよ」
「え?」
「パンツ、濡れてる」

脱げ、ってことかな?

私は背中への愛撫に耐えながら、パンティを脱いだ。

「きゃっ!」

と同時に、ベッドに引き倒される。
拓真の目がぎらぎら光って野生動物みたいだ。

「ふふ、マキだけ裸だね」
「えっ……ぁあぁああッ」

突然、指を挿れられた
ぐいッと内壁をこすりあげられる。

「ぁああん!」

ぐちゅぐちゅッ、ねちゅ…ぢゅッぐちゅ、と、卑猥な水音が響いた。

「マキ、濡れすぎ」
「あっあッ、たくまぁッだめ……っ!」

もう達きそう……!

私は夢中になって腰を突き出した。
ねちゅねちゅッと拓真の太い指が出入りするのが分かる。

中指と薬指をなかに入れながら、親指でクリトリスをぐっぐっと刺激してくる。
拓真はどこでこんなテクニック覚えたんだろう。

「本当に淫乱だねぇ」

そう耳元で囁かれると、もう耐えきれなかった。

「い…ぁッいきそ……あっ、いっちゃう、いっちゃう!たくまぁぁッ」

びくんびくんッ、とカラダがけいれんした。
拓真の背中にしがみついて、私はあっけなく絶頂に上り詰めてしまったのだった。

「すごいな……」
「はぁ、はぁ、…」
「マキのなか、すごい締め付けだよ。ぴくぴくしながら俺の指に絡みついてくる」
「い、言わないでよっ」

拓真は楽しそうに私を見下ろしている。

「もう、今度は拓真のこと気持ちよくしてあげる」

私はほてったカラダをようやく起こして、拓真にキスをした。

「んッふ……ぁッ」

くちゅ、と音を立てて拓真の舌を吸う。
拓真の指は私に入ったままで、時折思い出したように中をかき回した。

「た、ぁッ……たくまも、脱いで?」

私は拓真のシャツとジーンズ、そしてボクサーパンツも脱がせると、拓真の小さな乳首にキスしながらペニスをこすりあげた。

「拓真……」
「んー、マキ…あっ、気持ちいいよ……」

拓真は、声を出してあえぐ方だと思う。
意地悪なくせに、かわいいなぁ。

ゆっくりとカラダを移動して、拓真のペニスの先端に何回もキスをした。
舌をちょっとだけ出して、ちろちろと舐める。

「ぁッ…あ……」

拓真が優しい手つきで髪をなでてくれる。
フェラチオはあんまり得意じゃないけど、拓真に気持ちよくなってほしくて、必死で吸い上げた。
裏筋に舌を這わせながら、頭を上下させる。

「あー…マキ……っ、俺、今日達(い)くの早そう……」

私は思わず吹き出してしまった。
なんてかわいいことを言うんだろう。

「ありがと」

拓真はそう言うと、私のあごを引き寄せてキスしてくれた。
私の手で握ったままのペニスはぎんぎんと大きくなって反り返り、私は心の底からこのペニスが欲しいと思う。

欲情している。

「拓真、挿れて……?」
「うん」

拓真はコンドームを取り出すと、器用に装着する。

「外で出すなら、付けなくてもいいよ?」
「いや……外とか中とかの問題じゃなくてさ。万が一のときにマキが傷つくでしょ」

優しさにじーんとしてしまう…。

「挿れるよ?」

座位で、入り口に拓真の怒張したペニスが押し当てられる。

「うん……ッ、ぁはっああぁ……んんッぁん! は、入ったぁ……」
「あッ、あっん、マキッ」
「入ってる、たくまが…ぁあんッあっあっ」

じゅぷッじゅッじゅぷっ、ぬぷッ、と激しく水音が響き渡った。

「あぁぁん! たくまぁッ、乳首だめぇッ」
「はぁっ、……マキ、乳首好きでしょ?」

下から激しいリズムで突き上げられつつ、両方の乳首もくりゅくりゅと指先で転がされる。
私はほんとうに強い快感に襲われて、もう、声を上げることしか出来なかった。

「あぁあっ、あッ! やっぁんッ、たく…ッ」
「あぁ、締め付けられる……っ、マキのなか、すごいことになってる」
「やッ、ぅんっはあぁんッ」

拓真は、少し突き方をゆるめると、入り口ぎりぎりまで抜いて、一気に入ってくる。
ちゅ…じゅぷッ! ちゅ…ずちゅッ!

いやらしい音と、ベッドのきしむ音が、私の耳に入り込む。

「ぁぁんッたくまっ」

ゆっくりと押し倒され、正常位のかたちでつながる。
私が一番達きやすい体位だ……。

もう、全身が性感帯になったみたいだ。

「あッあんぅッ、あっ、あッ、あっぁッ」

拓真の律動に合わせて、うわずった声が漏れてしまう。

ペニスがどくどくと脈打ちながら、私の膣の一番感じる壁の部分を押し上げて来る。
拓真の腰の動きがいっそう激しくなった。

「ぁ、あ…俺、達きそ……」
「あんッあッたく…あたしもぉ……い、ぁっあぁんッ」
「達くッ、あッ達く……!」
「たくまぁあッ! あんッあッぁっ気持ちいいぃッ、いっちゃうぅんッぁぁああッ!」

どくん!
びくん!
と、私たちは同時に果てた。

すごい、今まで味わったことのない快楽だ。
これが絶頂……。

「あッ、あっ…たくま、まだ、びくびくしてる……」
「…………マキもぴくぴく締めてくるよ」

私たちは抱き合ったまま、しばらく荒い息をしていた。

* * *

「ねぇ拓真、またセックスしよう?」

腕枕されながら、私は拓真の肩にキスを落とした。

「セックスかぁ……」
「もうイヤ?」
「いや……なんて言うか、セックスだけじゃなくてさ」

付き合おう、って言われるのかな?
なんてどきどきしながら、拓真の言葉を待った。

「もっと、マキと一緒にいたい」

拓真は、恥ずかしいのか、天井の一点をにらんでいた。

「…………私も」

私はつぶやきながらカラダを起こして、拓真のくちびるにそっとキスをした。
友情と愛情の境目はわからないけど、これからも気持ちいいセックスして、いっぱい一緒に過ごそうね。

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