俺の趣味は天体観測。
大学に進学して東京に上京するまでの間、中学から高校まで、天体望遠鏡でよく星の観察をしていた。
住んでいるのが田舎で、実家は農家をやっていました。
実家の畑や田んぼは家から500メートルほど林道を走ったところにあり、そこの農作業の小屋は天体観測するにはうってつけの場所だった。
日没後2、3時間ほど望遠鏡で西の空を観測して記録をノートにつけ終えると、林道を自転車やカブで帰宅する毎日でした。
高2の秋くらいから、観測を終えて林道を下って行くと、途中のすれ違い用の広場に、近所のF井さんのパジェロが停まっているのを何度か見かけるようになりました。
ある夜、林道を下り始めたところで道を横切るU字溝の角に乗り上げてしまい、カブの前タイヤがパンクしました。
舗装してない林道を前タイヤが潰れたまま下るのは怖かったので、カブを路肩に停めて歩いて帰ることにしました。
観測用の赤いセロファンを張った懐中電灯の光を頼りに、暗い林道をとぼとぼと下っていくとパジェロが停まっていて、車内灯の光が100メートルくらい手前からも見えていました。
カーブを曲がって林道が直線になった所で、女の人のすすり泣くような声が聞こえ始めました。
事件に巻き込まれたような気がしたので、懐中電灯を消し、音を立てないように様子を見ることにしました。
女の人のすすり泣く声がだんだん大きな泣き声になり、突然静かになりました。
(殺人事件かもしれない!)
見つかったら殺されるかもしれないという恐怖心に囚われて震えていると、男の人が助手席の方から起き上がって運転席に座りエンジンをかけました。
すると、殺されたはずの女の人も起き上がり、助手席のシートを起こして足下を覗き込んだり、シートの後ろに手を回したりしていました。
突然ハイビームでライトが光り、俺が隠れていた場所の横1メートルを照らしました。
心臓が飛び出そうになりました。
パジェロが林道を砂埃を立てて下って行った後、やっと車の中で起きていたことの意味がわかりました。
次にパジェロが停まっているのに気付いたのは一週間後でした。
前タイヤを交換したカブで林道を下っていく途中、パジェロが停まっている辺りをちらちら見ながら下って行くと、車内灯の光が林の間から見え始め、すぐに消えるのが分かりました。
パジェロの前を通過する時、ちらりと車内を見ましたが、暗くて人がいるか見えませんでした。
(中年夫婦のカーセックスをまた見られるかもしれない)
もう天体観測はそっちのけになりました。
日曜日に林道から山に入り、パジェロが停まっている場所を見下ろせる細道と、その細道に交差する枯れ沢を見つけました。
それからというもの、天気の良い夜はほぼ毎晩、F井さん夫婦に気付かれないようにカブのエンジンを切って林道を下り、車内灯が見える夜を待ちました。
約3週間後、待ちに待った灯りが林間から見えました。
段取り通りに沢筋から細道に入り、ものの5分でベストポジションに陣取ることができましたが、すでに夫婦の営みは終わっていました。
そのことを教訓に、次の日からは最初からベストポジションでパジェロが来るのを一時間ほど待ち、F井さん夫婦が来ないことを確認してから天体観測を行うことにしました。
俺がカブでパジェロの前を通過しなくなってからは、警戒心が薄らいだのか、週に1~2回はF井さん夫婦のカーセックスを覗くことができるようになりました。
F井さん夫婦はいつも、ペアルックのプーマのジャージ上下か、ウォームアップ用のシャカシャカ上下、下はTシャツというラフなスタイルでした。
ジャージを下までずらして片足に残したまま、キス、おっぱいの愛撫、フェラチオ、指マン、そして挿入と進むこともありましたが、ほとんどの場合、車を停めるなりフェラチオ→挿入という即ハメコースでした。
体位は正常位が多く、たまに外に出てシートに奥さんが手をつく野外立ちバックなどでした。
生本番はなく、行為が終わるとテキパキとコンドームの後始末をして、余韻を楽しむこともなくジャージを整え、エンジンをかけて帰って行くのが童貞の高校生には印象的でした。
F井さん夫婦のおかげで受験に2回失敗し、予備校で知り合った美大受験3浪の女性と初体験をすることになりました。
初エッチの後で、「ほんとに初めて?」と聞かれました。
初めてなのに多少は上手にエッチができたのはF井さん夫婦のおかげだと思っています。
中年夫婦の営みでしっかりと勉強できましたから。
『教わるんじゃなく、見て盗め!』
職人さんの世界を実行していただけなんですけどね。
私にとってF井さん夫婦は、セックスのお師匠さまみたいなものなんです。