今思えば当たり屋だったのかもしれないが、車で駐車場から出るときに歩行者を引っかけてしまった。なにを言っても言い訳みたいになってしまうが、しっかりと徐行していたし、左右もちゃんと確認していた。それなのに、気がついたら男性が倒れていた。
初めての事故に動揺した私は、その時の会話をほとんど覚えていない。でも、たいしたことないので警察は呼ばなくていいと言う話になり、連絡先の交換をした事は覚えている。それが間違いの元だった。警察を呼ぶという基本的な対処さえしておけば、こんな事にはならなかったはずだ。
事故の翌日、はねてしまった相手から電話があった。一晩経ったら痛くて動けなくなったので、病院まで連れて行って欲しいという連絡だった。この時も、救急車を呼んでくださいと言えばよかったのかもしれないが、私は慌てて彼を迎えに行ってしまった。
2階建の古いアパートは、貧乏をテーマにしたバラエティ番組に出てきそうな感じで、いつ崩れてもおかしくないんじゃないかと思うほどだった。階段を上がって2階に行き、ドアをノックすると、
「開いてるよ〜。上がってくれるか〜」
と、中から大きな声がした。私は、すぐにドアを開けて部屋に上がった。すると、無精ヒゲを生やした50歳は過ぎている感じの男性がいた。私は、一瞬誰かわからなかった。昨日は、はねた相手の顔も覚えていないほどパニクっていたようだ。私は、大丈夫ですか? と、声をかけた。
「悪いね。昨日は平気だと思ったんだけど、足と腕が痛くて動けないんだよ。病院まで乗せてもらえるかな?」
申し訳なさそうにそんな事を言う彼。私は、もちろんですと答えた。そして、あらためて名前を聞いて柳野さんだとわかった。昨日も聞いたはずが、覚えていない……。私は、自分の事ながらどうしたのだろう? と、心配になるほど記憶がない。
そして、足を引きずる柳野さんに肩を貸し、自分の車に乗せて病院に向かった。近くの知り合いの病院に行くという事で、言われるままに車を走らせた。そこは個人の整形外科で、こぢんまりとした古い建物だった。肩を貸しながらそこに入り、受付をする。患者は2〜3名しかおらず、すぐに順番が回ってきた。
私は、会社を抜けてきたので早く戻らなければと焦っていた。そして30分以上経った後、ナースに言われて診察室に入った。すると、右腕を三角巾でつった柳野さんがいた。よく見ると、右足首にもギプスのようなものが装着されている。
「ヒビが入ってるんだってよ。どおりで痛いはずだ」
柳野さんは、笑いながら言う。私は、つられて笑いそうになったが、なんとか思いとどまって謝罪をした。
「良いよ、こっちこそ不注意だったしな。ただ、申し訳ないけど病院代はお願いできないかな?」
柳野さんは、申し訳なさそうに言う。私は、それならば保険を使わなければと思い、それを提案した。
すると、保険を使おうとしたら警察に届ける必要があること、そして、人身事故になると会社を首になるんじゃないかと言うことを心配された。私は、ドキッとしていた。人身事故なんてしてしまったら、本当に首になるかもしれない。車で移動するのが当たり前の業種なので、免許が停止になってもマズい。私は、そんなアドバイスをくれた柳野さんに、この時は感謝すらした。
そして、病院から自宅に送り届けた。途中でコンビニに寄り、食材や飲み物を多めに購入した。
「悪かったな。本当に助かったよ。ありがとう」
柳野さんは、腕をつって足首にギプスまでつけているような状況なのに、恨み言の一つも言わない。私は、ただただ申し訳ない気持ちでいっぱいだった。治療費もたいした額ではなかったので、この場で支払った。
そして、帰宅すると、嫁が心配そうな顔で話しかけてくる。
「いや、大丈夫だよ。病院に連れて行って、たいしたことはないみたいだったし」
私が説明すると、
『そっか、次の日に痛くなるって言うものね。でも、大丈夫? 警察に届けなくても良いの?』
嫁は、心配そうに言う。私は、人身事故になったらマズいと言い、大丈夫だよと嫁に言った。
『そっか。でも、気をつけなきゃね』
嫁は、本当に心配してくれているような感じだ。嫁の里奈とは、結婚してまだ3年だ。子供はちょうど今作っている最中だ。30歳という年齢に近づき、どちらからともなくそろそろ作ろうと言って子作りを始めた感じだ。
里奈はちょっと心配性なところがあるが、穏やかで清楚な女性だ。菩薩みたいな優しい顔立ちをしていて、いつも微笑んでいるような感じだ。スケートの真央ちゃんにタイプが似ているかもしれない。ただ、真央ちゃんと違って嫁はかなりの巨乳だ。前に聞いたときは、Fカップあると言っていた。いまはその時よりも少し肉付きが良くなっているので、もっと大きなカップになっているかもしれない。
勤めている病院では、巨乳ナースと言われたりすることがあるらしい。ただ、優しい見た目に反して、意外に姉さん女房的な感じもあり、私はどちらかというと尻に敷かれ気味だ。
私は、もう一度心配しなくてもいいよと言った。すると、嫁は安心したように微笑んだ。それから1週間程度は何もない日々だった。そろそろ連絡した方が良いかな? と、思っているタイミングで、柳野さんから電話があった。申し訳ないけど一度自宅に来て欲しいという内容で、私は昼休みのタイミングで訪問した。
すると、ヒゲもかなり伸び、髪も脂ぎった感じの柳野さんが、
「手と足がこんなだから、風呂にも入れないんだよ。悪いんだけど、頭洗うのとヒゲ剃るの、手伝ってもらえないだろうか?」
と、申し訳なさそうに言ってきた。私は、正直に言って柳野さんに不信感を持っていた。もしかして、ゆすってきたりするのではないか? そんな不安を感じていた。警察を呼ばなかったのも、悪巧みを考えていたからなのではないか? そんな事まで考えていた。
でも、申し訳なさそうにそんな事を言ってくる柳野さんは、本当に良い人だったんだなと思った。私は、さほど広くない浴室で、柳野さんの頭を洗い始めた。柳野さんは全裸で、私は靴下を脱いでズボンをまくり上げた状態だ。
「悪いね。あぁ、気持ち良いよ」
柳野さんは、私に頭を洗われながらそんな事を言う。私は、人の頭なんて洗ったことがないので、変な感じだった。そして、ひげ剃りもおっかなびっくりと手伝うと、柳野さんはさっぱりした小綺麗な見た目になった。こうやってあらためて見ると、年齢は行っているが、原田芳雄をもう少しソフトにしたような、なかなかの男前だ。
左手だけでタオルで身体を拭く柳野さん。歳のわりには引き締まった体をしている。でも、目を引いたのは股間だった。だらんと垂れ下がったペニスはかなりの大きさで、真珠みたいなものが入っているのが見える。話ではよく聞くが、本当に入れている人は始めた見た。
「本当にありがとう。さっぱりしたよ」
柳野さんは、本当に感謝している感じだ。私は、仕事のことを聞いた。休業補償なんかもしなければと思ってのことだ。
「いや、大丈夫。仕事って言っても、気が向いたときしかしてないし、貯えもあるから」
そんな事を言う彼。私は、それでは申し訳ないと言った。
「だったら、3日に1回くらい、髪洗うのと髭剃り手伝ってくれるとありがたい」
そんな事を言う彼。私は、わかりましたと言って部屋を出た。
夜、嫁と食事をしながらその話をすると、
『パパが洗ったの? ちゃんと出来た?』
と、笑いながら言う嫁。私がそんな事をしたのが、本当に驚きだったようだ。
『そんなの、私がやるよ〜。だって、職場でしょっちゅうやってるんだから』
嫁は、笑いながら言う。確かに、ナースの彼女の方が慣れていると思う。でも、男性の家に1人で行かせるのも抵抗があるし、柳野さんはなかなかの男前だ。それに、ペニスのこともある……。私は、そんなのいいよと言った。でも、嫁は聞かず、結局嫁が担当することになった。
そして、3日後、会社から帰ると、
『お帰りなさい。柳野さん、凄く良い人だったよ。なんか、恥ずかしがっちゃって、柳野さん水着着てたよ』
と、笑顔で報告する嫁。私は、かなりホッとしていた。考えてみれば、嫁は仕事で男性器なんか見慣れているはずだ。中には、真珠入りのものもあったはずだ。
そして、夕食を食べながら話し始めた。
『柳野さん、バツ2なんだって。でも、2回目は死別なんだって』
嫁は、そんな事を話す。どうやら、柳野さんに好感を持っているようだ。確かに、男前で腰が低い男性なので、嫌われる要素はないのかもしれない。私は、少し胸がざわつき始めていた。
「仕事、なにしてるんだろうね?」
私は、質問した。もしかして、なにか聞いているのではないかと思ってのことだ。
『なんか、仕事の斡旋とかしてるって。なんのだろうね?』
具体的には聞いていないようだ。私は、なんとなくこの話で盛り上がるのに抵抗があり、話題を変えた。
その夜、ベッドに入るとすぐに嫁が抱きついてきた。そして、嫁の方からキスをしてくる。少し呼吸が荒くなっていて、興奮しているような感じが伝わってくる。
「どうしたの? 今日は子作りの日じゃないんじゃない?」
私が、不思議に思って聞くと、
『うん……でも、して欲しいなって……ダメ?』
と、恥ずかしがりながら言う嫁。最近では、排卵日の周期でセックスをする日を決めている。こんな風に、イレギュラーなセックスはしなくなっていた。
私は、求められることに嬉しくなり、すぐに彼女に覆いかぶさった。キスをしながら胸を揉むと、手に余るほど大きい。また少し大きくなったかな? と、思いながらも揉み続け、そしてパジャマを脱がせていく。
薄暗い中でも、大きな胸が揺れているのがわかる。私は、小ぶりな乳首に舌を這わせていく。
『んっ、パパ、気持ち良い』
すぐに甘い声を漏らす嫁。私は、普段の姉さん女房的な口調との違いに、ドキドキしてしまう。そして私は、嫁を全裸にする。嫁も私のパジャマを脱がせてきて、そのまま乳首を舐めてきた。
『パパのも固くなってるね』
私の乳首を舐めながら、そんな事を言う嫁。そして、細い指がペニスに絡みついてくる。
『こっちもだ。カチカチ』
嫁は、嬉しそうに笑う。そして、しばらく私の乳首を舐めながらペニスをしごいていると、フェラチオを開始してくれた。舌が絡みついてくる感覚に、声が漏れる私。
嫁のフェラチオは、本当に気持ち良い。でも、フェラチオが上手なのはそれなりに男性経験が豊富だったという事でもあるはずなので、複雑な気持ちになる。私と交際を始めたときは、すでに処女ではなかった。そして、最初からフェラチオは上手だった。元カレのことなんかは一度も聞いたことがないが、気にならないと言えばウソになる。でも、いままで一度も聞いたことがない。
『パパ、もう欲しい……。来て……』
嫁はうわずった声で言うと、熱っぽい目で私を見つめてくる。私は、そのまま彼女に覆いかぶさって挿入した。
『うぅっ、パパ、入ってきたぁ』
嫁は、気持ちよさそうな声を漏らす。私も、絡みついてくる秘肉の感触に、声が漏れていく。ただでさえ早漏気味の私なのに、コンドーム無しでのセックスをするようになって以来、悲しいほど早くイッてしまう。
「里奈、愛してる」
私は、そんな事を言いながら腰を振る。でも、すでに射精感は高まっている。
『私も愛してる。パパ、もっとして』
嫁は、うわずった声で言う。私は、夢中で腰を振り続けた。
『あっ、あん、気持ち良い。パパ、気持ち良いよ』
嫁は、普段からは想像できないような可愛らしい声であえぐ。私は、どんどん快感が増し射精感が強くなる。
「ご、ごめん。もう、出そう」
私がうめくように言うと、
『う、うん。イって。私もイクッ、パパ、愛してるっ』
と、嫁も叫ぶ。そして、キスをしながら嫁の中に注ぎ込んだ。また、5分どころか3分ももたなかった。カップラーメンですら作れないなと、自虐的な気持ちになる。でも、嫁は幸せそうな顔で私に抱きついてきてイチャついてくる。私は、気がつくと寝てしまっていた。
荒い息遣いに気がつき目が覚めると、嫁がオナニーをしていた。私は、慌てて目を閉じて寝たフリを続ける。
『んっ、んぅ、くぅ、んっふぅ』
嫁は、声を抑えながらオナニーを続けている。私は、予想もしていない状況に、どうして良いのかわからずに固まっていた。しばらくオナニーを続ける嫁。すると、
『んっあっ! うぅ……ふぅ……』
と、嫁は少し大きめの声を上げ、オナニーをやめた。私は、さっきのセックスでは満足できなかったんだなと申し訳ない気持ちになった。確かに、さっきは自分でも驚くほど早くイッてしまった……。
そんな事がありながらも、普通の日常が戻ってきた。と言っても、私が柳野さんの面倒をみなくなり、嫁が代わりにやってくれているのでそう感じるだけかもしれない。
『今日ね、チラッと見ちゃったんだ。柳野さんのおちんちん、なんか入ってた。あれが真珠ってヤツなのかな?』
嫁は、少し顔を赤くしながらいう。私は、恐れていた事が現実になったなと思った。でも、素直に話してくると言うことは、何もなかったと言うことだと思った。
「患者さんで、そういう人いなかったの?」
私は、そんな質問をした。
『いないよ〜。聞いたこともないよ』
嫁はそんな風に言う。
「あれって、どうなんだろうね。痛くないのかな?」
私が少し真珠を貶めるような事を言うが、
『でも、ハマっちゃうって聞くよね』
と、嫁が言う。私は、興味を持ってしまったのかな? と、不安になった。
「きょ、興味あるの?」
声が裏返りそうになりながら聞くと、
『ないよ。なんか、怖いし。でも、柳野さんって、意外に遊び人なのかな?』
嫁は、不思議そうに言う。確かに、柳野さんは無骨で真面目な印象がある。私も、そうだねと言った。
『あっ、でも、奥さん死んじゃってから、全然ご無沙汰なんだって』
嫁は、そんな事を言う。私は、そんな会話までしている事に驚き、
「も、もういいんじゃないかな? ギプスも外れたんでしょ?」
と、言った。
『そうだね。そろそろ良いかもね。今度、聞いとくね』
嫁は、あっさりと同意してくれた。私は、ホッとしながらも、少し気持ちが落ち着かなくなっていた。
ただ、そうは言いながらも右手のヒビはなかなか治らないようで、嫁はまだ通うことになった。私は、不安な気持ちが大きくなりながらも、嫁にとくに何も変化がないことにホッとしてもいた。
そして、子作りの方はなかなか上手く行かなかった。意外に妊娠って難しいんだなと思いながら、今日も子作りの日だった。
『パパ、ごめんね。ちょっと風邪引いちゃったみたい。熱っぽいんだ』