私の妻は、5歳年上で、姐さん女房というヤツだ。性格もおとなしい私とはまったく正反対で、気性が荒いと言っても良いかも知れない。いわゆる元ヤンで、知り合った最初の頃は、なるべく関わりを持ちたくないと思って避けていたくらいだ。
知り合ったのは、私が大学生の時に始めたバイト先でだった。そこはファミリーレストランで、私は土日と平日の1日だけ、ランチタイムにバイトをしていた。大学生は、夜のシフトでバイトをすることが多いと思うけど、私がバイトをしようと思ったのは、ランチタイムにそこでバイトをしていた同じ大学の女の子と仲良くなりたいという、下心からだった。
結局、私がそこでバイトをするようになってすぐに、その子はバイトをやめてしまったので、結局仲良くなることもなかった。私が嫌でやめたのかな? と、少し心配もしたが、他のバイトのおばちゃんに、単に店長と揉めたからだと聞かされて、少しホッとした。
そんなバイト先で、礼子と知り合った。その頃、礼子は髪も真っ黒で一見上品な感じの見た目だった。でも、一緒に働き始めてすぐに、元ヤンなんだなと知ることになった。
仕事も出来るし、愛想もいい。そして、顔も彫りが深い感じの美人で、私も最初は凄く良いなと思った。
でも、忙し時のキッチンとのやりとりや、店長とのやりとりを見ていて、考えがガラッと変わった。言ってることは、基本、彼女の方が正しくて筋が通っていたけど、とにかく口が悪かった。男言葉でキツい口調。キッチンの大学生の男の子が、リアルに泣かされているのを見たこともある。
でも、お客さんからのクレーム対応とか、他のバイトがしたミスの尻ぬぐいとか、嫌な顔一つせずに率先してやっていたので、みんなからは凄く慕われていた。ジブリ映画に出てくる女海賊みたいな感じだなと思っていた。
『オマエって、仕事はそつなくこなすけど、全然心開かねーのな』
たまたま休憩が一緒になったとき、二人きりの休憩室でそんなことを言われたりした。
「ハァ、すみません」
私は、そんな風に謝りながら、内心凄くビビっていたのを思い出す。本当に怖いと思っていた。ただ、自分で言うのもおかしいけど、私はファミレスのホールの仕事に関しては凄く出来る方で、礼子にも徐々に頼りにされるようになっていった。
『アンタと一緒だと、本当にスムーズに回るから、楽だよ。もっとシフト増やせねーの?』
私の呼び名が、オマエからアンタに昇格した頃には、彼女が怖いという気持ちよりも、一緒に働いていて楽しいなと思うようになっていた。そして、色々と話をするようになり、彼女がいつまでもバイトじゃまずいなと思っていて、何か資格を取って就職しようと考えていることなんかを聞き、アドバイスを求められるようになっていった。
と言っても、私もただの大学生で、国立大学とはいえ法学部や医学部ではないので、自分自身の先の見通しも立っていない状況だった。それでも、彼女と色々と将来のことについて話をするのは、大学の仲間と同じ話をするよりも、新鮮だった。
『もうアップだろ? 飯でも行こうか?』
夕方、バイトが終わる時間間際に礼子に誘われて、私はビックリしながらも一緒に食事に行くことにした。仕事では頼りにされても、私みたいなナヨッとした男は嫌いだと思っていたので、この初めてのプライベートでのお誘いは、青天の霹靂だった。
「どこ行きますか?」
私がそう聞くと、
『いい加減、敬語やめろって。なんか、壁があるみたいで寂しいよ』
急に女っぽい言葉づかいで言われて、私はドキッとした。そして、
「いや、癖なんで。徐々に直していきます」
『アンタらしいな。でも、そう言うところが好きだよ』
凄くニコニコしながら言ってきた彼女。私は、好きという言葉に過剰に反応して、顔を真っ赤にしてしまった。
『なに赤くなってんだよ。そういう意味じゃねーよ』
と言った彼女も、少し頬を赤くしていた気がした。
そして、彼女の行きつけというパスタ屋さんで食事を始めた。彼女は、ワインなんかも飲みながら饒舌に話をした。地元では、やっぱりヤンキーで、身の回りも悪い仲間ばっかりだったので、高校卒業と同時に東京に出てきたらしい。彼女は、グレてはいたが、将来のことを考え、このままではいけないと思って地元のヌルい人間関係から飛びだしたそうだ。
でも、なにをやっていいのかもわからず、バイトを点々としたようだ。ガールズバーのような所で働いたこともあったみたいだが、客を殴ってクビになったそうだ。
『いきなりチチ揉まれたから、鼻へし折ってやったよ』
思い出しただけでもムカついたようで、そんなことを言った彼女。私は、あらためて怖いなと思ってしまった。
「彼氏とかはいないんですか?」
『彼氏? いないよ。そんな余裕ないし、私みたいなアバズレ、男が嫌がるしな』
「あばずれ?」
『え? わかんない? ヤリマンって事だよ』
サラッとそんな風に言われて、私は顔を赤くした。
『なに赤くなってんだよ。アンタって、もしかして童貞?』
この上なく楽しそうに言ってくる彼女。私は、確かにまだ童貞で、なおかつまだ女性と交際したこともなかったので、耳まで赤くしてもごもごと言っていた。
『卒業する? 私でよければ貸すよ』
彼女は、サラッと言う。本気なのか冗談なのかわからない私は、
「い、いや、その……。そんな……」
と、口ごもるばかりだった。
『私なんかじゃ、嫌だよな。まぁ、そのうちいい人見つかるって』
少し残念そうに言った彼女。私は次の瞬間、
「お願いします!」
と、言っていた。
『へ? いいの? こんなアバズレ相手じゃ、後悔するんじゃね?』
「しないです。ぼ、僕、礼子さんのこと好きです」
『ほ、本気で言ってるのか? なんか、勘違いしてない? 私なんかの、どこが良いんだ?』
急にしどろもどろになる彼女。私は、そんな彼女を見て、本当に可愛いと思ったし、やっぱり自分は彼女のことが好きなんだなと自覚した。
「一緒にいて楽しいから……。バイトじゃないときも、礼子さんのこと考えてることが多いです」
『あ、ありがとう……。私も、アンタといると楽しいよ。でも……。わかった。自分から言い出しといて、みっともないよな。よし、じゃあ行くか!』
彼女はそう言うと、会計を済ませた。私も払おうとしたが、
『童貞もらっちゃうんだから、これくらい払わせろって』
と、受け取ってもらえなかった。そして、
『じゃあ、ウチに来いよ。すぐそこだし』
と言って、歩き始めた。でも、さっきまでとは違い、お互いに妙に無口だ。私は緊張でガチガチだったし、頭の中はエロい妄想で破裂しそうだった。
礼子は、この時どう思っていたのかわからないが、無口な割には足取りは軽かった気がする。
そして、彼女の家に着く。そこは、2階建ての木造のアパートで、ちょっと古そうだったけど、手入れが行き届いているのか小綺麗な感じだった。部屋数は、1階2階共に4部屋で、小ぶりなアパートだ。そこの2階の角部屋が彼女の部屋だった。
『散らかってるけど、我慢しろな』
相変わらず口が悪いが、緊張している感じの彼女。普段の彼女からは、まったく想像もつかないような姿だった。
彼女の部屋の中は、2DKの間取りで、意外なほどに女の子っぽい部屋だった。ピンクのカーテンに、可愛らしいベッド、その上には、ぬいぐるみがいくつか置かれていた。
「意外です。礼子さんって、可愛いんですね」
と、私が言った途端、結構強めにボディにパンチが入った。
『う、うっさい! いいから、先シャワー浴びろって!』
と、耳まで赤くした彼女が言った。私は、少し咳き込みながらも、フラフラと浴室に向かった。
『そのタオル使っていいから!』
と、言われたタオルを見ると、それは可愛らしいキャラクターのバスタオルだった。でも、私はなにも言わずに服を脱ぎ、シャワーを浴び始めた。そして、はやる気持ちを抑えながら、手早く全身を洗い、何度もうがいをしてから脱衣場に出た。そして、タオルで身体を拭き、腰に巻付けて部屋に行くと、間接照明で薄暗くなっていた。
『す、すぐ戻るから、座って待ってな』
と、ベッドを指さす彼女。私と入れ違いに、シャワーを浴びに行った。
私はドキドキしていた。まさか、いきなりこんな展開になるとは……。いつも一緒に働いていて、気がつくと彼女のことばかり考えるようになっていた。彫りが深くて少しエキゾチックな美人顔。でも、黙っていると上品なイメージだ。身長は、姐さん的なイメージとは違い、160cmもないような小柄で、体重もたぶんかなり軽めだと思う。でも、バイトのユニフォームだと、結構胸が大きめに見える。でも、うわっ、巨乳っ! と言う感じではない。
すると、すぐに彼女が戻ってきた。彼女は、肩までの黒髪をまとめてアップにしていて、バスタオルで身体を隠していた。そのまま、ベッドに近づいてくる。
普段、バイトの仲間としてしか接していなかった彼女が、こんな格好をしている……。それだけで、私は暴発してイッてしまいそうなほど興奮していた。すると、彼女はベッドに乗る直前にタオルをハラッと外した。
彼女の裸体は、想像通りの引き締まった無駄な肉のないものだった。それでいて、胸は結構なボリューム感があり、乳首も乳輪も小さい感じだった。
そのまま、彼女はベッドに上がると、私の腰のタオルを外した。そして、
『わっ、意外とデッカいんだ』
と、驚いたような声で言った。私は、ペニスの大きさは大きめだと自負していた。エッチな動画や、同級生達と比べても、負けたと思うことが少なかったし、ネットの情報を見て定規で測ったりしたとき、17cm程度はあった。
「そ、そうですか?」
でも、私はそんな風に謙遜ではないが、自信がない感じで言った。
『うん。これなら、自信持って良いよ。たぶん、いままでで2番目か3番目にデッカいよ』
と、力強く言う彼女。たぶん、彼女にまったく悪気はないと思うけど、私は過去の彼女の男性経験のことを想像してしまい、少しモヤモヤした。
でも、彼女はそんな私のモヤモヤなんて関係なく、いきなりペニスをくわえてしまった。すぐに、彼女の舌が絡みついてきて、強烈にバキュームしていく。私は、一気に快感に捕らえられて、うめき声をあげてしまった。
彼女は、そのまま私のペニスをフェラチオし続ける。それは、とても滑らかで慣れた動きに思えた。彼女は、私のカリ首を舌で舐めつくし、唇で引っかけて責めてくる。それだけではなく、睾丸を指で揉んだり、アナルのあたりを舐めてきたりもする。私は、恥ずかしさで逃れようとするが、彼女はガシッと私の太ももをホールドして離さない。
『ホント、大きいよ。久しぶりだから、ヤバいかも……。さかっちゃったよ』
そう言って、私にまたがってくる彼女。そのまま、あっけないほど簡単に、私のペニスは彼女の膣に飲み込まれてしまった。これがセックスか……と、感激する間もなく、
『ううっ、ヤバい……奥に当ってるよ。アンタの、凄く気持ち良い』
彼女は、私のモノを根元まで飲み込みながら、気持ちよさそうに声をあげた。見上げる彼女の身体は、本当に美しいと思った。くびれも凄いし、胸も下から見上げているせいか、もの凄く大きく見える。
「れ、礼子さんのも凄く気持ち良いです」
うめくように言う私に、
『まだ締めてないから。もっと気持ち良くしてやるよ』
と、彼女は言った。それと同時に、ギュウッとアソコが締まってくる。確かに、さっきまでとはまったく違う締まりの良さだ。そして、そのまま腰を上下に動かす彼女。私は、ゾクゾクッと快感が駆け抜けていって、思わず少し漏らしてしまいそうだった。と、同時に、コンドームをしていないことに気がついた。
「れ、礼子さん、ゴム着けてないです!」
『い、良いよ。私、生派だから。今日は大丈夫な日のはずだし』
そう言って、腰をガンガン振り始めた彼女。私は、搾り取られるとはこの事か! と思いながら、イキそうになるのを必死で紛らしていた。
密かに使ったことのあるオナニーホールとは、まったく比べものにならない気持ちよさ。絡みつき、絞られる感覚がどんどん強くなる。
『ん、ンッ、あっ、あっ、あっ♡ す、凄い、アンタの本当にヤバい。気持ちいい。キ、キスしても良いか?』
腰を振りながら、妙に気弱なことを言う彼女。私は、普段の彼女とのギャップに、笑いそうになってしまった。
『わ、笑うなっ!』
恥ずかしそうに言いながら、私に身体を倒してきてキスをした彼女。すぐに舌が飛び込んできて、私の口の中をかき混ぜる。私にとってのファーストキスは、あまりにも強烈で濃厚なものだった。私は、絡みついてくる舌に、一気に快感が倍増していくのを感じながらも、負けじと舌を絡めていった。すると、彼女がギュッと私を抱きしめてきて、アソコもギュゥッとさらに締めつけを増してきた。
そして、そのままガンガン腰を振っていた彼女。しばらくすると、キスをやめてアゴを上げ、
『イッちゃうっ! イクっ! 好きっ! 好きっ!』
と、とろけた顔で叫んだ。私は、その言葉を聞いて、
「す、好きですっ! イクっ! イキますっ!」
と叫びながら、彼女の中にイッてしまった。その途端、彼女はビクンと体をのけ反らせ、ガクガクッと小さく震えた。
『童貞にイカされちゃったよ……』
そんな風におどけたように言った後、私に再びもたれかかってキスをしてきた。私は、最高の初体験が出来たなと思った。
そして、その後、結局2回彼女に搾り取られ、そのまま彼女の部屋に泊まった。次の日、私の方から交際を申し込み、
『い、いいのかよ? 私なんかじゃ、釣り合わないぜ。大学に、若くて可愛い子ウジャウジャいるんだろ?』
と、彼女に言われたが、本気だと言うことを話したら、少し涙目でOKしてくれた。
でも、これからが大変だった。安全日ではなかったようで、妊娠してしまった彼女。私の結婚したいという希望が通るまでに、両親の反対や礼子自身の身を引く発言など、そんな色々な難関があった。でも、結局押し切って結婚をし、いまでは息子も6年生になり、私も卒業後就職して独立し、今では従業員を使うまでになっていた。色々とあった12年だったが、二人目も生まれて幸せな4人での生活を送っている。
子供が二人になっても、私が独立して社長になっても、彼女の姐さんぶりは変わらずで、今では完全に姐さん女房という感じだ。でも、それが私には事地良いと思っている。
そんなある日、休日に子供達が実家で遊んでいる時、二人で街に出て買い物をしているとき、
「アレ? 礼子じゃん?」
と、声をかけられた。ビックリして振り返ると、いかにもチンピラっぽい格好をしたチャラい男がニヤけた顔でこちらを見ていた。
『雅弘先輩……。お久しぶりです』
そんな風に挨拶をした礼子。見るからに緊張している感じだ。
「久しぶり〜。そちらは旦那さん? 結婚したんだって?」
ニヤけた顔で言ってくる彼。その、まとわりつくようなしゃべり方と、感情を感じないような目に、私は蛇みたいな印象を持った。
その後は、なるべく話を切り上げたい感じの礼子と、ネチネチと話してくる彼との攻防という感じだった。
「じゃあ、またな。旦那さん、礼子のこと、幸せにしてあげてくださいよ』
と、明らかに年下の私にそんな言い方をした彼。私は、礼子のことを呼び捨てにされているにもかかわらず、気弱に”はい”と言うだけだった。
そして、二人きりになると、礼子は無口だった。
「あれって、高校の先輩?」
『うん……。そうだよ』
「なんか、苦手な感じなの?」
『あぁ……。昔、アイツらに廻されてたから……』
礼子は、見たこともないような不安そうな顔でそう言った。私は、急に胃のあたりがキリキリと痛くなってきたのを感じていた。彼女の深刻そうな顔に、私はそれ以上のことを聞けなかった。