この話は続きです。はじめから読まれる方は「女優 」へ 私は今夜も山口久子に抱かれている。抱かれる度に淫乱で貪欲な私が目を覚ます。山口の卓越したテクニックで一晩中雄叫
この話は続きです。はじめから読まれる方は「女優」へ
私は今夜も山口久子に抱かれている。抱かれる度に淫乱で貪欲な私が目を覚ます。山口の卓越したテクニックで一晩中雄叫びをあげて歓喜の涙を流す。山口に抱かれる時だけ私は人でなく、けだものになれた。全てを忘れ、淫乱なけだものになることだけが今唯一の救いだったのだ。
貴子さんはあれ以来、撮影以外では私を避けるようになった。必要なことだけを話して、世間話もしなくなった。辛かった。お互い女優をやっていく以上、成立しない恋だと割り切ってしまったんだろうか。私はそこまで割り切れず女優業と貴子さんの間で心が揺れている。大切な人が目の前にいるのにすり抜けていく、そんな感覚に陥っていく。ベッドシーンを撮るときが一番辛い。貴子さんから教えてもらったプロとしての思い、痛いほど試される。そんな日は決まって山口に抱かれた。山口のSEXで我を忘れた。
「おま〇こ最高~、いいいい、死ぐうううあぎゃあああ」
朝起きるといつも嫌悪感で死にたくなる。自分の浅ましさ、狡さ、淫乱な自分が嫌いになり私の精神は壊れていくようだった。
そして、その重荷に耐えれなくなり、唐突に山口に別れを告げた。
「私、貴子さんが好きなの。愛してるの。だから久子さんもう別れて下さい。私を自由にしてください。私は貴子さんに愛されたい。本当ごめんなさい」
「何、別れる?そんなことが出来ると思っているの」
「本当にごめんなさい。今まで私を援助してくれたことは本当に感謝してます。でももう私は女優になれなくてもいい。貴子さんさえいてくれたら。だから私をもう見捨ててください」
山口は怒り狂い私を引っ張って、貴子さんのマンションに向かった。
「何?プロデューサー。わざわざこんなところまで」
「とぼけんじゃないよ。私のりかを誘惑しただろう」
「はあ?何言ってんのよ。あれは映画の中のお話でしょ。プロデューサーがそんなことじゃ困るわね」
「りか、こっち来な」
「・・・ごめんなさい。貴子さん。私辛くて辛くて、久子さんに別れてくれって言ったの」
貴子さんは引き攣ったような顔になり、そして私の頬にいきなりビンタをした。
(バシッ)
「このばかっ。なんて身勝手なことをするの。貴女一人の問題じゃないのよ。皆が迷惑するの。女優を簡単に諦めるなんて何様だと思ってるの。貴女を育てる為にどれだけに人間が涙を飲んだり苦労をしたりしたか解ってるの。女優失格よ!」
「坂口、私はそんなことを言ってるんじゃないんだよ。映画は中止だ。この落とし前どうつけるかって言ってんだよ」
「うるさい。だまれ!あんたの出る幕じゃないの」
「りか、私が何の為に身を引いたと思ってるの。こうすることが、貴女の為、貴女が女優として将来輝く為に一番いいと思ってしたことなのに。本当にバカねぇ。りか、女優はね、誰でもなれるものじゃないの。限られた一部の輝いてる人間しかなれないの。貴女はその才能があるわ。女優が一人誕生するには何百、何千という人の努力と、夢破れていった何万という人の涙があるの。その頂点に立つ女優には輝きがあるの。その輝きを失ってはだめ。だから立ち上がって。愛してるわ、りか」
そう言って泣きじゃくる私を貴子さんはぎゅっと抱きしめてキスしてくれた。
「な、なによ。あんた達。私の話を聞き・・・」
「わかってるわ。奥で二人っきりで話つけましょ。いらっしゃい。私に任せてりかはもう帰りなさい。悪いようにはしないわ。明日また現場で会いましょ」
そう言って貴子さんは山口と奥の部屋へ入っていった。私は不安に思いながらもマンションを後にするしかなかった。
つづく「女優6」へ