首筋に滴る汗はたゆまぬ努力の証。しずくを残した額に、服に滲ませた色濃い模様は激しい修練を物語る。柿乃 翼は、そんな妥協を許さないひた向きなボクシングジムの先輩に憧れていた。
努力により作りこまれた隆々の筋肉に、試合での輝かしい実績、翼は敬意無くして先輩を見られずには居られなかった。最近はもはや、憧れというよりも崇拝に近いものになってきた様にも思える程だ。
その為か、最近は先輩と先輩の彼女との馴れ初めやノロケ話を聞かされる事になると決まって苦々しくなり、嫌な気持ちになってしまう。
(先輩と彼女はもうセックスしたんだろうな…)
嫉妬心なのだろう。
そんな先輩と彼女との話を聞かせられる度に翼はそんなことばかりを考えてしまう。だが、そんなある日、1つの噂が翼の耳に入ってくる。
翼も知っている事だが先輩のアソコは異常な程に大きい。そして、それを見た彼女が受け入れる覚悟が出来ないとセックスを断ったという話だった。
翼は複雑な感情に苛まれた。1つは先輩と先輩の彼女がセックスをするというまでの仲になっている事への苦い思い。そして、もう1つは、自分ならば先輩のどんなモノでも受け入れられる自信があるのにという思いだった。
思えばジムのシャワー室で先輩のあの巨大なペ○スを見た時、男としての驚きと共にそれとは別のどこかうっとりとした羨望を感じたのを翼は覚えている。
(あのたくましいモノを持て余す気持ちというのは、どんなものなのだろう…)
あの巨大なペ○スから生まれる性欲の大きさは尋常では無い筈だ、と翼は男として先輩の心情を憂いた。
(先輩、残念だったろうなぁ。男として目の前まで行っておあずけなんて普通でも堪えられないのに…加えて先輩のはアレだからなぁ)
自分ならば先輩をそんな辛い目には逢わせないのに、自分ならば…。
翼は全身鏡に向かい自身の体を見る。ジムに通ったおかげで筋肉は付いた。しかし、先輩と比べるとまだまだであり、事実、翼の体はボクサーにしてはかなりシャープな体つきであった。それから、昔からコンプレックスとなっていた妹と似た中性的な顔立ち。
(先輩にも綺麗な顔だって言われたことあるし…)
翼の崇拝に近い先輩への思い。先輩と先輩の彼女に対する苦い思い。そして、自分ならば先輩を必ず満足させてあげられるのにという嫉妬と絶対の自信。
翼はいつの間にか妹の服を着て先輩の元へと出掛けて行ってしまうのだった。